~目に見えない気泡であるナノバブルの安定性解明に期待~
ポイント
・数十マイクロメートルの気泡が多数、分散した水において個々の気泡のサイズの時間変化を予測する法則を解明した。
・気泡半径の平均値や分布関数のみを測定する従来の手法ではなく、顕微鏡による直接観察と画像解析を用いることで、1000 個程度の気泡の半径変化を個別に計測した。
・飽和結晶溶液において結晶粒子が多数あるときに見られるオストワルト熟成*3 と呼ばれる現象が気泡分散系でも成立することを示した。
概要
九州工業大学大学院情報工学研究院の植松祐輝准教授、九州大学大学院理学研究院木村康之教授らの共同研究グループは、数十マイクロメートルの気泡が多く分散した水において個々のバブルが従うサイズの時間変化の法則を解明しました。今回の発見は、産業利用されているマイクロバブル*1 水の気泡サイズ制御法の改善、基礎科学の未解決問題とされているナノバブル*2 の安定性解明の端緒となります。将来的には、例えば、洗剤を使わなくとも汚れを落とすことができる洗浄用水の開発や、野菜の収量や魚介類の養殖生存率を増加させるための農漁業用水の開発など多方面の産業の発展に寄与するものと考えています。
用語解説
*1 マイクロバブル:直径1マイクロメートルから100マイクロメートルの気泡。ファインバブルとも呼ぶ。(1マイクロメートル=1000分の1ミリ)
*2 ナノバブル:直径1マイクロメートルよりも小さい気泡。ウルトラファインバブルとも呼ぶ。
*3 オストワルト熟成:飽和結晶溶液中で結晶粒子が多数ある時に小さい粒子がより小さくなっていき、大きい粒子がより大きくなっていく現象。水中の油滴や合金系などでも同様の現象が見られる。
詳細
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