糖尿病の鍵・アディポネクチン受容体と同等の作用を示す低分子ペプチドを発見!

~インスリン抵抗性の改善および抗糖尿病作用に期待~

 脂肪細胞から分泌される善玉ホルモンであるアディポネクチンは、骨格筋においてアディポネクチン受容体1(AdipoR1)との結合を介してグルコースの取り込みを促進することで抗糖尿病作用を示すと知られています。しかし、アディポネクチンの欠乏は、インスリン抵抗性およびⅡ型糖尿病を誘発するため、アディポネクチンと同等の作用を示す成分の開発が求められていました。
 今回、九州大学大学院農学研究院の松井利郎教授の研究グループは、アディポネクチン受容体1(AdipoR1)のアゴニスト(※1)作用を有する生理活性低分子ペプチド(※2)Tyr-Proの発見に成功しました。Tyr-Proは、ラット由来の骨格筋細胞(L6細胞)においてAdipoR1のアゴニストとして作用し、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)/グルコース輸送体4型(GLUT4)経路を活性化することで、インスリン非依存的に細胞内へのグルコース取り込みを促進することが明らかとなりました。また、生体膜模倣タンパク質モデルを用いてTyr-ProとAdipoR1の結合新和性を評価することで、Tyr-ProはAdipoR1のアゴニストとして作用し、抗糖尿病作用を示す有用な機能性分子であることが明らかとなりました。
 これまでに、AdipoRアゴニスト作用を有する低分子化合物としてアディポロンが報告されていますが(Okada-Iwabu et al.,Nature, 503, 493-499, 2013)、天然の食品成分に関しての報告はほとんどないのが現状です。それに対して、本研究で明らかとしたAdipoR1アゴニストとして作用する生理活性低分子ペプチドTyr-Proは、インスリン抵抗性の改善および抗糖尿病作用を発揮する新規の食品成分として今後の展開が大いに期待されます。
 本成果は、2021年11月12日(金)19時(日本時間)に英科学誌「npj Science of Food」にオンライン掲載されました。なお、本研究は日本学術振興会科学研究費(JP18H02157、JP21H04863)の支援を受けました。

用語解説

※ 1 ペプチド:アミノ酸がつながった化合物であり、発酵食品などに含まれる身近なタンパク質分解物。
※ 2 アゴニスト:生理活性物質の受容体に結合して、その生理活性物質が持つ作用と同じ、または類似の作用を発現する物質のこと。

詳細

九州大学プレスリリースをご参照ください。

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