体内時計が安定して機能するメカニズムを新たに提案

~体積変化が温度変化の影響を相殺している可能性~

ポイント

・体内時計が温度変化に対して⼀定のリズムを保てる理由を説明する新たなメカニズムを提案。
・周期的に⾊変化するゲルを体内時計を持つ細胞に⾒⽴て、提唱したメカニズムが実現可能であることを実証。
・体内時計の温度補償性が普遍的に⾒られる理由の説明となることに期待。

概要

 東京⼯業⼤学 国際先駆研究機構 リビングシステムズ材料学研究拠点の⼭⽥雄平特任助教と⼯学院 機械系の前⽥真吾教授、九州⼤学⼤学院 芸術⼯学研究院 未来共⽣デザイン部⾨の伊藤浩史准教授らの研究チームは、化学反応を利⽤した疑似的な体内時計(⽤語1)を考え、そのモデル化および理論解析を通じて、⽣物学の⼤きな問題の⼀つである体内時計の温度補償性(⽤語2)を説明する新しいメカニズムを提案した。
 多くの⽣物が共通して約24 時間周期のリズムを持っている(体内時計)ことが知られているが、周囲の温度が変化しても体内時計のリズムが乱れないメカニズム(温度補償性)は明確にはわかっていない。これまでの研究では、特殊な反応機構により温度補償性が保たれていると考えられていたが、本研究では細胞の体積変化が内部の化学反応に影響を及ぼしているのではないかと考えた。実際に、周期的に⾊が変わるゲルを体内時計を有する細胞に⾒⽴て、温度変化・体積変化および⾊変化周期の関係を調べた。その結果、温度による⾊変化周期の変動を、体積変化による化学反応制御によって抑えることができることが⽰された。分⼦などの物質の変化ではなく、⼒学的な変化によって体内時計の温度補償性が保たれているというアイデアは⼀般的ではなかったが、この機構が他の⽣命現象の制御に関わっている可能性もあり、多くの未解決課題を解く鍵になることが期待される。
 本研究成果は2022 年12 ⽉27 ⽇付の「Scientific Reports」にオンライン掲載された。

用語解説

(1) 体内時計:多くの⽣き物に⾒られる約24 時間周期のリズム。⽣物の⽣存や繁殖などに関わる重要な機能の⼀つ。概⽇時計や概⽇リズムとも呼ばれる。
(2) 温度補償性:体内時計が温度によらず⼀定の周期を保つ性質。ほとんどの⽣体内の化学反応は温度変化に伴って速度が変化するが、体内時計は例外的に温度を変えても時計の針の速度が変化しない。

詳細

詳細はプレスリリースをご参照ください。

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