人工知能であらゆる疾患の治療薬を見つける方法を開発

〜 新型コロナウイルス(含デルタ株)治療薬候補の発見に成功 〜

 ※注意※
本研究に関する論文は、プレプリントでピアレビュー(査読)前であり、今後内容が修正される可能性があります。
 
 九州大学生体防御医学研究所の中山 敬一 主幹教授、米国ハーバードメディカルスクール・システム生物学部門の清水秀幸リサーチフェロー、北海道大学人獣共通感染症国際共同研究所の澤 洋文 教授の研究グループは、疾患の原因となるタンパク質のアミノ酸配列(※1)のみから、そのタンパク質を狙った治療薬を見つけ出す方法を開発しました。

 生体のさまざまな現象は遺伝子の設計図をもとに作られたタンパク質が担っています。疾患の原因となるタンパク質の立体構造が分かれば、そのタンパク質に対する治療薬を探すこともできますが、現在でもタンパク質の多くはその構造が分かっておらず、そのことが創薬における一つの壁になっていました。

 本研究グループはこの問題を解決するため、タンパク質の立体構造を全く使わずに、より容易に入手できるタンパク質のアミノ酸配列のみから治療薬候補を高速に見つけ出す人工知能、LIGHTHOUSE(“灯台”の意)を開発しました。がんや感染症、生活習慣病といったさまざまな疾患の治療薬をLIGHTHOUSEに予測させ、その予測を実験で検証したところ、新たな抗がん剤や抗菌薬を見つけることができました。さらに新型コロナウイルスについても、国内で深刻な感染状況を引き起こしているデルタ株を含め多くの変異株の治療に有望な化合物を見出しました。

 今回の成果は、これまでの創薬研究の進め方を大きく変える可能性を秘めているものであり、より迅速に薬を開発することができるようになると期待されます。
 本研究成果は、2021年9月27日(月)(日本時間)にbioRxivで公開されました。

用語解説

(※1)タンパク質のアミノ酸配列
タンパク質は、20 種類のアミノ酸の組み合わせでできています。そのアミノ酸を端から順に並べたものを、タンパク質のアミノ酸配列といいます。これに対して、生体内ではタンパク質は複雑に折りたたまれており、その構造のことを立体構造といいます。アミノ酸配列に比べて立体構造は解明することがずっと難しく、多くのタンパク質の立体構造は未知です。

詳細

九州大学プレスリリースをご参照ください。

遊泳微生物における新たなキラル集団運動現象を発見

約10万人の妊婦健診情報から「妊娠中体重増加曲線」を作成

関連記事

  1. 糸島市・九州大学連携研究事業「フレイル疫学研究成…

    ~ フレイル疫学研究成果報告会を開催します。 ~糸島市をフィールドに…

  2. 血液凝固因子の正常な分泌に必須なカーゴ受容体の全…

    従来の定説を覆す四量体の全長構造と亜鉛による制御機構を解明ポイント…

  3. ⻩麹菌細胞におけるmRNA⽣成メカニズムを世界で…

    ~発酵⾷品に⽋かせない微⽣物、有⽤物質のさらなる⽣産量向上に期待~ポ…

  4. 株式会社Rainmakers、株式会社0th B…

    産学連携により、次世代の高機能原料および化粧品の開発を加速株式会社Rai…

  5. Al-Ti合金において高温超伝導状態の創出に成功…

    ~機械学習による“探索指針の提案”と“超伝導組織の予測” ~ポイント…

  6. 糖尿病網膜症の進行に関わるメカニズム、網膜表面で…

    ~糖尿病網膜症の進行に関わるメカニズム、網膜表面での免疫細胞自己増殖を発見~…

  7. ビッグバン宇宙を実験室で再現できる理論を構築

    トポロジカル物質を使った極限宇宙シミュレータの理論 ポイント・…

  8. メタ意思決定:意思決定はどのように行われるかを科…

    九州大学基幹教育院副理事・教授 Johan Lauwereyns九州…