〜 妊娠中の体重管理の参考になることを期待 〜
ポイント
・妊娠週数別体重増加曲線は個別の体重管理に有用であることが海外でも言われていますが、日本人向けのものは存在しませんでした。
・子どもの健康と環境に関する全国調査(以下、「エコチル調査」)※1に参加している96,631人の妊婦の母子健康手帳から転記された妊娠中の体重を用いて、妊娠40週で「妊娠中の体重増加の目安」に定められた範囲内の体重増加を得るには、妊娠5-39週にどれくらい体重を増やせばいいのかを算出しました。
・本学術論文の結果に基づいた「妊娠中の体重増加曲線」は広く活用していただけるように、国立成育医療研究センターのホームページで公開しております。
※1 胎児期から小児期にかけての化学物質ばく露が子どもの健康に与える影響を明らかにするために、平成22(2010)年度より全国で約10万組の親子を対象として環境省が開始した、大規模かつ長期にわたる出生コホート調査で、参加者の母子健康手帳から妊娠中の体重に関する情報を集めております。
概要
エコチル調査福岡ユニットセンター、国立成育医療研究センター社会医学研究部の 森崎菜穂部長らと九州大学 大学院 医学研究院 保健学部門・産科婦人科の諸隈教授らの研究チームは、環境省の「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の約10万人の妊婦の情報を用いて、日本人女性の妊娠週数別体重増加の分布、および現行の「妊娠中の体重増加の目安」を満たすために必要な妊娠週数別体重増加量を妊娠前体格別に算出しました。本研究の成果は、令和3年8月28日に疫学分野の学術誌Journal of Epidemiology (Online ahead of print)に発表されました。また、本学術論文の結果に基づいた「妊娠中の体重増加曲線」が国立成育医療研究センターのホームページに公開されました。
妊娠中の体重管理については、厚生労働省などから妊娠10ヶ月の出産直前の目安となる体重の数値が示されていますが、具体的に何週にどの程度の体重増加が望ましいかについての参考になる妊娠週数ごとの体重増加値は今までありませんでした。これらの結果は、妊婦自身や医療従事者が、妊娠中の体重管理を行うのに役立つ資料になると期待されます。
※本研究の内容は、すべて著者の意見であり、環境省及び国立環境研究所の見解ではありません。
詳細
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