新型コロナウィルスの増殖を抑えるコバレントドラッグを開発

〜COVID-19 の新たな治療薬として期待〜

ポイント

・新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に対する新しい治療薬の開発が求められている。
・新型コロナウィルスの増殖を抑える新薬候補となるコバレントドラッグの開発に成功。
・今後、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に対する経⼝治療薬の創製が期待できる。

概要

 新型コロナウィルス感染症(COVID-19)による世界的なパンデミックは、世界中の国々で医療、健康上の深刻な脅威であり、経済⾯も含めて⼤きな障害となっています。現在、COVID-19 の治療に⽤いられている治療薬は、効果が不⼗分である、使⽤上の制限があるなどの問題をかかえており、より強いウイルス増殖抑制効果と⾼い安全性を⽰す新しい治療薬の開発が求められています。
 今回、九州⼤学⼤学院薬学研究院の王⼦⽥ 彰夫 教授、川⻄ 英治 講師、進藤 直哉 助教らの研究グループは、新型コロナウィルスの増殖を抑制するコバレントドラッグ(※1)YH-6 の開発に成功しました。YH-6 は、新型コロナウィルスの3CL-プロテアーゼ(※2)の機能を強⼒に阻害して、コロナウィルスの増殖を阻害し、抗ウイルス作⽤を⽰す、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)経⼝治療薬候補です。
 本研究は、北海道⼤学⼈獣共通感染症国際共同研究所の澤 洋⽂ 教授ならびに佐藤 彰彦 客員教授(塩野義製薬)との共同研究の成果であり、⽇本医療研究開発機構(AMED)の新興・再興感染症に対する⾰新的医薬品等開発推進研究事業ならびに創薬等先端技術⽀援基盤プラットフォーム(BINDS)の助成のもとに⾏われた研究です。
 今後は、YH-6 の化学構造をさらに進化させ、新しいタイプの新型コロナウィルス感染症(COVID-19)経⼝治療薬の創製を⽬指して研究開発を進めていきます。
 本研究成果は、⽶国化学会の学術誌「Journal of Medicinal Chemistry」に2022 年10 ⽉14 ⽇(⾦)に掲載されました。

用語解説

(※1)コバレントドラッグ:阻害標的となるタンパク質と共有結合を形成することで効果を発揮する阻害剤分⼦
(※2)3CL-プロテアーゼ:新型コロナウィルスが発現するウイルス増殖に重要な酵素タンパク質

詳細

詳細は九州大学プレスリリースをご参照ください。

糖飢餓状態の悪性脳腫瘍 ミトコンドリア翻訳阻害薬が有効

【11/24開催】第2回アジア昆虫食シンポジウム

関連記事

  1. 遺伝子の転写の「伸長」場所は動きやすいことを発見…

    ~生きた細胞の核の中で遺伝子が転写される場所のリアルタイム可視化に成功~…

  2. 【1/6開催】九州・沖縄地域小児がん医療提供体制…

    ~ 「おうちに帰りたい」を支える子どもと家族の在宅医療 ~ 九州大学…

  3. CIRCULATE-Japan GALAXY、リ…

    医学研究院沖 英次 准教授Nature Medicine誌で発表…

  4. THEインパクトランキング2024

    -九州大学が3つのSDG項目で世界トップ50位以内にランクイン―6…

  5. 井上和秀 特別主幹教授が瑞宝中綬章を受章

    ~高等研究院の井上和秀 特別主幹教授が令和6年春の瑞宝中綬章を受章しました。…

  6. 神経細胞の膜電位と細胞内カルシウムイオンの同時イ…

    膜電位と細胞内カルシウムイオンのコードする情報の違いを解明理学研究院…

  7. 光照射を用いた超高解像度な遺伝子解析技術の開発に…

     ~組織内に潜むがん細胞の病理診断などに応用可能~ ポイント・組…

  8. 九州大学×TSMC 包括連携の覚書を締結

    半導体分野の研究および人材育成における協力関係をより強固に!このたび…