樹木の種でコピー数が増えているDNA修復遺伝子を発見!

〜植物のDNA修復と寿命の進化の理解に向けて〜

概要

 2000年以上生き続ける屋久島の縄文杉など、植物には非常に長い寿命を持つ種が存在します。長く生きることによって、紫外線や細胞の代謝の過程で発生する活性酸素などへ長期間暴露されるため、遺伝情報を担うDNAの損傷が蓄積し、動物ではそれが老化や細胞のがん化につながります。なぜ植物は長く生き続けることができるのでしょうか?
 九州大学大学院システム生命科学府の青柳優太大学院生、同大学比較社会文化研究院の楠見淳子准教授、同大学理学研究院の佐竹暁子教授らの研究グループは、長寿命の植物種では短命の種よりDNA修復遺伝子のコピー数(※1)が多くなると考えました。それは多くのDNA修復遺伝子を持つことによって、DNA損傷は効率的に修復され、遺伝情報を守ることができるからです。研究グループは、樹木・多年草(※2)・一年草(※3)を含む61種の植物において121種類のDNA修復に関わる遺伝子ファミリー(※4)に含まれるコピー数を網羅的に比較した結果、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)だけ、樹木において短命の一年草や多年草よりも有意にコピー数が多いことを発見しました。特に、ベイマツなどの長寿の樹木でコピー数の顕著な増大が見られました。さらに、植物の成長率とPARP遺伝子コピー数の間には負の関係が存在することも見いだされました。
 PARP遺伝子は動物も植物も共通して保持している遺伝子で、DNA修復において重要なはたらきを持つだけでなく、アスコルビン酸などの生合成促進によって病原体への防御にも関わっていることが知られています。樹木におけるPARP遺伝子コピー数の増加は、樹木がDNA損傷や病原体の感染から長期間身を守り、生存を維持するのに貢献していると考えられます。一方で、DNA修復や病原体の防御への投資は成長を抑制するため、緩やかに成長する種においてのみ長寿命性が実現されると予想されます。本研究の成果により、長寿命性の進化に関する今後の研究が一層加速されることが期待されます。
 本研究成果は、2021年6月24日に科学雑誌「iScience」で公開されました。

詳細

詳細は九州大学プレスリリースをご参照ください。

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