スルフォラファンが炎症誘導性の受容体タンパク質を分解するメカニズムを解明

~大腸炎など炎症性腸疾患(IBD)の予防・治療に期待~

ポイント

1.P2Y6Rが難病指定されているIBDの発症に寄与することを明らかにしました。
2.緑黄色野菜に多く含まれるスルフォラファンやイベリンが細胞膜表面にあるP2Y6Rと結合し、細胞内への取り込みと分解を促進することで、炎症を抑制することを明らかにしました。
3.2はP2Y6R以外の味覚・嗅覚を司る受容体にも共通する機構であることから、今回の発見は、炎症の予防・治療だけでなく、味覚・嗅覚異常のメカニズム解明にもつながる可能性が期待されます。

概要

 クローン病や潰瘍性大腸炎に代表される炎症性腸疾患(IBD)は寛解と再燃を繰り返す腸管の慢性炎症を特徴とする原因不明の難治性の疾患です。最新の統計では、クローン病患者数は約7万人、潰瘍性大腸炎患者数は約22万人と推定されており、日本でも増加傾向が続いています。
 九州大学大学院薬学研究院の西田基宏教授(生理学研究所・生命創成探究センター教授兼務)と西山和宏講師は、生理学研究所(生命創成探究センター)、東北大学、筑波大学、大阪府立大学、東京工業大学、東京大学との共同研究により、ブロッコリースプラウトなどの緑黄色野菜に多く含まれるスルフォラファンやイベリンが細胞膜表面にある炎症誘導性のGタンパク質共役型受容体「P2Y6R」と結合し、細胞内への取り込みと分解を促進することで、炎症を抑制することを明らかにしました。つまり、P2Y6RがIBDの病態形成の増悪因子であることが分かりました。
 細胞の膜表面に存在する受容体タンパク質は、細胞外の様々な物質を感知し、細胞内に情報を伝達する重要な役割を担っています。細胞外の核酸を感知するP2Y6Rは細胞の遊走や貪食を促進する生理機能を有しますが、その作用の増強により炎症が増悪することも知られています。我々は、スルフォラファンがP2Y6Rタンパク質のシステインと直接結合することで、P2Y6Rを細胞膜から解離し、分解を促すことで抗炎症作用を発揮することを見出しました。P2Y6Rの細胞内取り込みは、既存の制御機構とは異なるシステイン酸化に依存した機構であり、P2Y6R以外の味覚・嗅覚を司る受容体にも共通する機構であることも明らかにしました。今回の発見は、炎症の予防・治療だけでなく、味覚・嗅覚異常のメカニズム解明にもつながる可能性が期待されます。
 本研究結果は、米国医学誌が発行する誌「Science Signaling」にオンライン版にて掲載されました。

詳細

詳細につきましては、プレスリリースをご参照ください。

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