糖飢餓でリソソーム機能が低下するメカニズムを発見

医学研究院
内海 健 教授

リソソーム関連疾患の病態把握への期待

ポイント

・リソソーム(※1)はオートファジー(※2)の中心器官であり、飢餓状態に対応しています。 リソソームの機能不全は様々な疾患の原因となっています。
・本研究ではリソソーム機能が糖飢餓を含む栄養飢餓でどのように働き、機能を維持しているのかについて調べ明らかにしました。
・リソソーム表面に存在している解糖系酵素(※3)がリソソーム機能を維持しているため、糖飢餓ではリソソーム機能低下が引き起こされます。 一方、アミノ酸飢餓など他の飢餓ではリソソーム機能低下が起こりませんでした。

概要

リソソームはオートファジーの中心器官であり、栄養飢餓状態で異化反応を促進し、エネルギーを産生します。
本研究では、リソソームが糖飢餓を含む飢餓状態で機能がどのように変化するか、また機能維持のメカニズムを調べ解明しました。
九州大学大学院医学研究院保健学部門検査技術科学分野の内海健 教授 (責任著者)、八木美佳子 助教、同院臨床検査医学分野の國崎祐哉 教授、康東天 名誉教授、同院脳神経外科の吉本幸司 教授、学術研究員の三木健嗣 (筆頭著者)らの研究チームは、糖飢餓状態ではリソソーム機能は実は低下すること、その機序としてリソソームの膜上には解糖系酵素が存在しており、それらの酵素がリソソーム機能を維持しているため、糖飢餓ではリソソーム機能が維持できず機能障害を起こすことを明らかにしました。さらに、そのメカニズムを調べるため経時的変化も解析しリソソーム機能が低下した後に鉄のトランスポーターの機能が低下することでリソソームに鉄が蓄積し、鉄による細胞死(フェロトーシス)(※4)を起こすことを発見しました。一方、アミノ酸飢餓ではリソソーム機能低下は起きず、リソソーム機能維持において糖が必要であることを証明しました。
今回の研究はリソソームの膜上にどのような蛋白がいるか明らかにしており、あらゆる飢餓状態とリソソーム機能の関連についても調べた研究になります。その中でリソソーム機能維持には糖が重要であることがわかりました。リソソーム機能低下はリソソーム病など様々な病態と関連しており、今後様々な疾患におけるリソソームの糖環境について検討することで、リソソーム関連疾患の治療介入に繋がる可能性が示唆されます。それ故、当研究は今後リソソーム病の治療法開発へ大きく貢献するものと考えられます。
本研究成果は国際学術誌「iScience」に2024年4月29日(月)(日本時間)に掲載されました。

用語解説

(※1) リソソーム
細胞内で様々な物質を分解する細胞内小器官である。

(※2) オートファジー
飢餓などに対応して自己成分を分解しエネルギーを産生します。

(※3) 解糖系酵素
グルコースを分解し, グルコースに含まれるエネルギーを産生する代謝経路を解糖系と言います。
その経路に関わる酵素を解糖系酵素と呼びます。

(※4) フェロトーシス
細胞内自由鉄を触媒として過酸化脂質の蓄積により引き起こされる細胞死である。

研究に関するお問合せ先

医学研究院 内海 健 教授

詳細

本研究の詳細は九州大学プレスリリースをご参照ください。

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