非局在、非同期、閉ループによる有機レーザー発光分子の発見

工学研究院
安達 千波矢 教授

次世代有機光エレクトロニクスの新展開へ

ポイント

・有機光機能材料の開発には、分子設計・合成と物性・デバイス特性評価の両面を統合した複雑なワークフローが必要となるため、単一の研究室で構築するのは困難でした。
・本研究では、有機薄膜固体レーザーにおける最高レベルの光増幅機能を有する低分子をAIガイド下において発見することに成功しました。
・開発された有機レーザー(※1)分子を基礎に、今後更なる低閾値材料の開発が期待されます。

概要

 これまで、九州大学・最先端有機光エレクトロニクス研究センター(OPERA)では、新材料開発からデバイスの創製まで、有機半導体レーザーに関する先駆的な研究開発に取り組んで参りました。現在、先端光機能分子の探索には、分子設計・合成と物性・デバイス特性評価の両面を統合した複雑なワークフローが必要となっています。今回、米・加・英・日の5つのラボ(トロント大学、バンクーバー大学、イリノイ大学、グラスゴー大学、九州大学)が材料探索を加速するために協力し、トロント大学で開発された“自動運転ラボ”を使用して2ヶ月間の短期間で1,000個以上の分子を合成・評価し、21個の新しい高性能有機固体レーザー(Organic Solid-State Laser: OSL)材料を発見しました。本研究は、JSPS科研費特別推進研究の支援のもとで行われ、2024年5月17日に米国科学雑誌「Science」のオンライン版で公開されました。

用語解説

(※1) 有機レーザー

有機分子は蛍光、りん光、TADF(熱活性化遅延蛍光)などの発光機能に加え、光増幅機能を有していることから、レーザーデバイスへの展開が期待されています。現在では、溶液レーザーから完全固体型レーザーへの開発が進展し、光励起及び電気励起デバイスの両面から研究開発が進められています。これまでOLEDで進められてきた発光分子の分子構造を基礎に、低閾値化の有機レーザー分子の創製とデバイスの実現は、ポストOLEDデバイスとして大きな期待が寄せられています。

研究に関するお問合せ先

工学研究院/最先端有機光エレクトロニクス研究センター センター長安達千波矢教授

詳細

本研究の詳細は九州大学プレスリリースをご参照ください。

世界初、素粒子ミュオンの冷却・加速に成功

エルニーニョの発達の早さが暖冬傾向と寒冬傾向を左右することを発見

関連記事

  1. [6/10開催]第234回アジア・オセアニア研究…

    ザリンス マーテインス 助教(芸術工学研究院)九州大学アジア・オセア…

  2. 小惑星ベヌーにアミノ酸など多くの生体関連分子が存…

    ~DNA/RNAに必須の5種類の核酸塩基も全て検出~理学研究院奈良岡…

  3. 分子性量子ビットの量子重ね合わせ状態が化学物質に…

    工学研究院楊井 伸浩 准教授ケミカル量子センシングの実現への重要な一…

  4. AIMaP特別企画:「アジア・太平洋における数理…

    AIMaP特別企画:「アジア・太平洋における数理融合イノベーションの場の形成…

  5. 兆候から発見へ:世界最高エネルギー衝突型加速器L…

    ~ 世界最高エネルギー衝突型加速器LHCが生成するニュートリノをFASER…

  6. 株式会社ニチリウ永瀬のプレスリリースに掲載されま…

    スマート農業で離農を防ぐ!九州大学大学院農学研究院は株式会社ニチリウ…

  7. 300℃で世界最高のプロトン伝導率を有する安定酸…

    ~大型トラックなど固体酸化物形燃料電池の多用途化を推進~エネルギー研究教…

  8. 【7/4開催】RIAMフォーラム2024

    ~ 新しい時代を拓く ~ 応用力学研究所(RIAM)は、力学とその応…