タイにおいて、テントウムシで初めて確認された「シロアリ共生」
総合研究博物館
丸山宗利 准教授
ポイント
・テントウムシの仲間がシロアリの巣に定着して生活する確実な例は知られていなかった。本研究により、世界で初めてその存在を確認した。
・タイで採集された新種は、幼虫がシロアリの腹部に似た体形をもち、巣内生活に適応した特徴を示す。一方で成虫は通常のテントウムシとほぼ同じ形を保つ。
・シロアリの巣という未開拓の環境に、まだ知られていない昆虫の多様性が存在することを示し、生物多様性の理解を大きく広げる成果である。
概要
シロアリの巣は、湿度や温度、食料が安定した特殊な環境で、多くの分類群の(広い意味での)共生生物が知られています。しかし、テントウムシの仲間がこの環境に適応している例は、これまで正式に確認されていませんでした。
九州大学大学院生物資源環境科学府の関崚大氏と、台湾(MICRODO:生物模型制作会社)の梁維仁博士、九州大学総合研究博物館の丸山宗利准教授らの研究グループは、タイでの調査により、シロアリの巣内から新種のテントウムシを発見し、本種はシロアリヒメテントウ Scymnus(Pullus)tshunsii と命名しました(種小名は昨年誕生した梁博士の長男にちなむ)。
本種は、幼虫が白く柔らかい体をもち、シロアリの働きアリの腹部に似た形態を示すという特異な特徴をもっています。一方、成虫は一般的なテントウムシとほぼ同じ形態を維持しており、成長段階によって適応戦略が大きく異なる可能性が示唆されました。
また、幼虫や蛹はすべてシロアリの巣内で発見され、外部では確認されていません。一方で成虫は夜間に飛翔し、光に集まることが確認されており、新たな巣を探して分散すると考えられます。
本研究は、テントウムシにおけるシロアリ共生の初の正式な発見例であり、昆虫の進化や生態の理解に新たな視点を提供するものです。同時に、社会性昆虫の巣という環境が、未発見の生物多様性を多く含む重要な生息地であることを示しています。
本研究成果はチェコ共和国の雑誌「European Journal of Entomology」に2026年5月14日(木)(日本時間)に掲載されました。
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