人工膝関節置換術後の痛み・機能・違和感を改善する脚形状を発見

生まれながらの脚形状を個別に再現することで更なる成績向上が期待

大学病院
小西 俊己 医員

ポイント

・人工膝関節全置換術(TKA)は従来、脚を真っ直ぐにすることを一律の目標としていたが、これでは個々の生まれながらの脚の形状と一致しない場合がある。
・生まれながらの脚形状を維持されているか否かが、術後の痛み・機能・違和感に及ぼす影響を検討した報告はない。
・TKA後に生まれながらの脚形状を維持し、関節面の非生理的な傾斜を避けることで、痛み・機能・違和感が10%以上も改善されることを明らかにした。
・患者ごとの脚形状に応じた術前計画にロボット支援技術を加えることで、TKAの術後成績が更に向上することが期待される。

概要

 人工膝関節全置換術(TKA)は、変形性膝関節症(※1)に対して行われる術式で、良好な長期成績が報告されていますが、術後の満足度は約80%とも報告されています。従来TKAは、膝関節への荷重バランスをとるために、股関節、膝関節、足関節の中心が一直線に並ぶ真っ直ぐな脚を、一律に目標としてきました。しかし、これは必ずしも患者さんの生まれながらの脚の形状に一致するとは限らず、術後の患者さんの満足度に影響を与える可能性がありました。生まれながらの膝形状を予測するための分類として、CPAK(Coronal Plane Alignment of the Knee)分類が近年MacDessiらにより提唱されました。
 九州大学大学病院整形外科学教室の小西俊己医員(医学系学府博士課程3年)および濵井 敏准教授らの膝関節バイオメカニクス研究グループは、当院でTKAの手術を受けられた患者さんを対象に、術前後のレントゲン画像によるCPAK分類の評価および術後のアンケート調査を行い、術後に①生まれながらの脚の形状(O脚・真っ直ぐ・X脚)が変わらないこと、②関節面の非生理的な傾斜(外方)を避けることで、痛み・機能・違和感に関するスコアが従来よりも10%以上も改善することを明らかにしました。今回の発見を基に、患者さんごとの脚形状に応じた術前計画を立て、ロボット支援技術を用いた正確な手術を行うことで、TKAの更なる成績向上に役立つことが期待されています。
 本研究成果は英国の雑誌「The Bone & Joint Journal」に2024年10月1日に掲載されました。

用語解説

(※1) 変形性膝関節症
加齢に伴う関節軟骨の摩耗や力学的な負荷が作用することで発生する疾患で、膝関節の痛みや腫れ、動かしにくさを特徴とし、日本人では約800万人が症状を有しているとされている。

詳細

本研究の詳細はこちらをご参照ください。

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