新たなC-スルホン化反応とプロスタサイクリン拮抗分子の発見

~免疫と酸化ストレス制御に関わる新たな代謝機構発見と新たな医薬品開発に期待~

ポイント

・特定の官能基を有する炭素原子にスルホン基を修飾する酵素反応を世界初で発見した(C-スルホン化反応)
・免疫応答などの様々な生理作用をもつ生理活性脂質プロスタグランジンがC-スルホン化を受けることを証明した
・スルホン化プロスタグランジンが痛みや炎症、浮腫を誘発するプロスタサイクリン受容体の拮抗分子として機能することを発見した

概要

 宮崎大学農学部応用生物科学科 黒木勝久准教授、榊原陽一教授、九州大学大学院農学研究院 寺本岳大助教、角田佳充教授らは、炭素原子にスルホン基を修飾する酵素反応 (C-スルホン化)を世界で初めて発見し、その酵素反応メカニズムを解明しました。さらに、その標的基質の一つとして、プロスタグランジンを同定し、代謝産物がプロスタサイクリン受容体に対する拮抗作用を示すことを明らかにしました。本研究結果は2024年3月4日に「PNAS Nexus」に掲載されました。
 本研究では、a,b-不飽和カルボニル基の炭素原子にスルホン基(-SO₃H)を修飾するC-スルホン化反応を発見し、その標的基質としてシクロペンテノン型プロスタグランジンを同定しました。酵素反応物の構造や酵素の立体構造を解析し、a,b-不飽和カルボニル基のC-スルホン化反応機構を解明しました。プロスタグランジンのスルホン化反応物はプロスタグランジン受容体EP2およびプロスタサイクリン受容体IPに対して拮抗作用をもつことが明らかになりました。本酵素は腸管特異的に機能することから、腸内細菌と腸管との間で制御される腸管免疫を制御し、腸の機能維持に関与していることが想定されました。さらに、プロスタサイクリン受容体IPに対し、強い拮抗作用をもつことから、新たな医薬品開発に繋がることが期待されました。C-スルホン化反応は、いくつかの硫酸転移酵素により触媒され、酵素によって標的基質が異なることが想定されるため、これまでに明らかにされていないスルホン化反応(硫酸化反応)が、生体内には多く起きていることが想定されました。

発表者

宮崎大学 農学部:黒木勝久 准教授、榊原陽一 教授、水光正仁 名誉教授
     医学部:福島剛 准教授、片岡寛章 副学長・理事 (研究当時:教授)
     工学部:松本仁 准教授
     地域資源創成学部:橋口拓勇 特別助教

九州大学 大学院農学研究院:寺本岳大 助教、角田佳充 教授、兼清美帆 氏 (研究当時:学生)
     生体防御医学研究所:馬場健史 教授

大阪大学 工学研究科:福崎英一郎 教授

研究に関するお問い合わせ先

農学研究院 角田 佳充 教授
農学研究院 寺本 岳大 助教
生体防御医学研究所 馬場 健史 教授

詳細

本研究の詳細はプレスリリースをご参照ください。

【3/19オンライン開催】令和5年度 九州大学DX推進本部・NOE部門 学内外向け講演会

【3/16】開催「いとしま免疫村」拠点づくり クリエイティブセミナー

関連記事

  1. ⿇疹(はしか)ウイルスが「協⼒」して脳炎を引き起…

    ~ 新規治療薬の開発やウイルス共通の進化メカニズム解明に期待 ~ポイ…

  2. RNA転写の終わりとがん細胞の増殖の密な関係

    ~転写と複製の衝突を誘導するがん治療戦略への発展に期待~生体防御医学研究…

  3. 新しいRNA編集技術「RECODE」を開発

    ~狙ったRNAのCをUへ正確に変換。動物細胞とマウスで作動を実証~農学研…

  4. 九州地方において中国からの越境大気汚染の減少を示…

    九州地方において中国からの越境大気汚染の減少を示唆!渓流水質にも反映…

  5. 《8/30開催》全国がんプロ協議会市民公開シンポ…

    がん医療の新たなニーズとその新展開次世代のがんプロフェッショナル…

  6. 【3/13開催】第135回アジア・オセアニア研究…

    ~九州大学 武田秀太郎 准教授(都市研究センター)九州大学アジア・オ…

  7. 電気機械的穿孔法(エレクトロメカニカルポレーショ…

    〜電界誘起気泡の挙動制御が細胞の遺伝⼦操作に貢献〜ポイント・誘電…

  8. 第78回アジア・オセアニア研究教育機(Q-AOS…

    工学研究院 応用化学部門片山 佳樹 教授九州大学アジア・オセアニ…