世界34カ国の150万人のデータからなる国際共同コホート研究で修正可能な危険因子が心血管疾患罹患の半分を占めることを報告

〜修正可能な危険因子が心血管疾患罹患の半分を占めることを報告〜

ポイント

・心血管疾患は、全世界の死因の約3分の1を占めており、その罹患の予防は重要である。
・世界34か国における112のコホート研究の国際共同研究Global Cardiovascular Risk Consortium 150万人の個人レベルのデータを用いて、過体重、高血圧、高コレステロール血症、喫煙習慣、糖尿病の5つの心血管疾患の危険因子が心血管疾患罹患に及ぼす影響を検討した。
・上述の5つの危険因子を適切に治療・管理することにより心血管疾患の半分以上が予防できることが示唆される。

概要

 九州大学大学院医学研究院 衛生・公衆衛生学分野の二宮利治教授、坂田智子助教らの研究グループ(久山町研究)が参加しているGlobal Cardiovascular Risk Consortiumは、過体重、高血圧、高コレステロール血症、喫煙習慣、糖尿病の5つの心血管疾患の危険因子が、世界中の心血管疾患(虚血性疾患または脳卒中)罹患の半分以上に寄与していることを報告しました。
 Global Cardiovascular Risk Consortiumは、ハンブルグ・エッペンドルフ医療センター(UKE)心臓血管センター循環器科とドイツ心臓血管研究センター(DZHK)が主導する国際共同研究であり、北米、中南米、西ヨーロッパ、東ヨーロッパおよびロシア、北アフリカおよび中東、サハラ以南のアフリカ、アジア、オーストラリアの8地域の34か国における112のコホート研究に参加した150万人の個人レベルのデータを用いた統合解析を行うことにより、世界全体および地域別の心血管疾患の危険因子およびその影響を明らかにすることを目的としています。
 心血管疾患は、全世界の死因の約3分の1を占めています。心臓血管疾患は多くの場合、数十年にわたって静かに進行します。多くの場合、気づかれないうちに血管壁が変化し、動脈硬化を引き起こし、心血管疾患を発症します。本研究では、上述の5つの危険因子をすべて合わせると、女性では心血管疾患罹患の57.2%、総死亡の22.2%、男性ではそれぞれ52.6%、19.1%に寄与していることが明らかになった(アジア地域のみ:女性59.2%、34.3%、男性 55.6%、43.2%)。さらに、本研究では、血圧値、血清コレステロール値の上昇に伴い心血管疾患の罹患リスクが直線的に上昇すること、上述の危険因子の心血管病罹患への影響は年齢が若いほど高い(例:40歳代の方が80歳代よりも高血圧の心血管疾患罹患への影響が高い)ことを明らかにしました。
 以上の成績より、上述の5つの危険因子を適切に治療・管理することにより心血管疾患の半分以上が予防できることが示唆されます。一方、これらの5つの危険因子では心血管疾患罹患の約45%、総死亡の約80%は説明できないことから、今後も新たな危険因子の検討が必要であると考えます。
 本研究成果は、2023年8月26日に国際学術誌New England Journal of Medicine オンライン版に掲載されました。

用語解説

※1 人口寄与割合(population attributable fraction:PAF):集団において、ある曝露(ばくろ)要因によって生じていると推定される対象疾患(または死亡)の割合。言い換えると、その曝露要因を有しなければ対象疾患に罹患せずに(または死亡せずに)すむ割合を意味する。

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詳細

詳細は九州大学プレスリリースをご参照ください。

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