宇宙線加速の新たな理論モデルを構築

~ 波のエネルギーを宇宙線エネルギーに変換 ~

ポイント

・高エネルギー宇宙線の生成機構は未解明である。
・プラズマの波による高効率な粒子加速機構を新たに発見し、その理論モデルを構築。
・本粒子加速は宇宙のいたるところで起こっていると考えられ、様々な天体現象における宇宙線生成に関与している可能性がある。

概要

 地球には宇宙からやってくる高エネルギー宇宙線※1が絶えず降り注いでいます。そのような宇宙線を生成する天体がどこにあるのか、またどのように宇宙線を加速しているのかという問題は長年にわたり未解明です。
 九州大学大学院総合理工学研究院の諌山翔伍助教・高橋健太修士2年学生・松清修一教授、大阪大学レーザー科学研究所の佐野孝好助教らの研究グループは、2つのプラズマの波(アルフベン波※2)が対向伝搬する状況に着目しました。互いに逆向きに伝搬している2の波が衝突し、さらにそれらの波の振幅がある閾値を超えていると、これまでにない非常に高効率な粒子加速が起こることを理論・シミュレーションにより示しました。さらに本加速機構が有効に働くための条件や、粒子がどのくらい高エネルギーにまで加速されるのかについて明らかにしました。
 本加速機構では、ひとたび対向伝搬するアルフベン波の振幅が閾値を超えると、粒子の初期エネルギーに関係なく、どのような粒子でも短い時間で高エネルギーまで加速されます。また本加速機構では、ほぼすべての波のエネルギーが粒子のエネルギーへと変換され、非常に高効率な波から粒子へのエネルギー変換が起こります。
 このような対向伝搬の波の構造は、強力な磁場をもつ中性子星(マグネター)※3をはじめ、宇宙のいたるところで形成されると考えられ、宇宙線の生成に重要な役割を担っている可能性があります。今後、本研究で確立した理論をもとに様々な天体現象について調査することにより、宇宙線の生成機構の解明につながると期待されます。
 本研究成果は2023年3月31日(金)に米国科学誌Astrophysical Journal(オンライン)に掲載されました。

用語解説

(※1)宇宙線
宇宙を飛び交う高エネルギーの粒子や放射線の総称である。
(※2)アルフベン波
磁場のあるプラズマ中で、磁気張力を復元力として磁力線に沿って伝わる波。波の振動方向は進行方向に垂直な横波である。
(※3)強力な磁場を持つ中性子星(マグネター)
質量の重い恒星(太陽のように自ら光りを出して輝く天体)が寿命を迎えて、超新星爆発を起こした後に、中性子が非常に密に集まった中性子星ができる。その中でも特に、1015 G (ガウス)以上の強力な固有磁場をもつものをマグネターと呼ぶ。

詳細

詳細はプレスリリースをご参照ください。

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