小惑星べヌーの砂に生命を構成する「糖」が存在

―アミノ酸、核酸塩基に並ぶ主要な生命材料分子を検出―

理学研究院
奈良岡 浩 教授

ポイント

・遺伝子NASAの小惑星探査計画「OSIRIS-REx (オサイリスレックス)(注1)」によって小惑星べヌー (Bennu) (注2)から持ち帰った砂を分析しました。
・核酸のうちRNAを構成するリボース(注3)と、生命代謝の主要なエネルギー源であるグルコースを含む6種類の糖を検出しました。
・地球外に生命を構成する糖が存在し、地球に降り注いでいたという決定的な証拠が得られました。

概要

小惑星のカケラである隕石からは、生命の材料分子であるアミノ酸、核酸塩基、糖が検出されています。このことから、隕石によって宇宙から地球にもたらされた分子が、生命の材料として使われたという仮説が提案されています。日米の小惑星サンプルリターン計画「はやぶさ2」と「OSIRIS-REx」では、地球物質の混入がない小惑星試料から、核酸(DNAとRNA)の構成分子である核酸塩基とリン酸、タンパク質の構成分子であるアミノ酸の存在を明らかにし、隕石による生命材料分子の供給を裏付けました。しかし、核酸の材料となる分子群のうち糖だけは見つかっていませんでした。

東北大学大学院理学研究科の古川善博准教授らの研究グループは、炭素質小惑星ベヌー(図1)から持ち帰った小惑星の砂(図2)から、核酸のうちRNAを構成するリボースと、生命代謝の主要なエネルギー源であるグルコースを含む6種類の糖を検出しました(図3)。この結果は、地球外に生命を構成する糖が存在し、地球に降り注いでいたことの決定的な証拠です。また、宇宙におけるグルコースの存在を示した初の証拠となり、宇宙にはこれまで考えられていた以上に生命活動を支える分子が存在することが明らかになりました。

本研究成果は、日本時間2025年12月2日(火)19時公開の科学誌Nature Geoscienceに掲載されました。

用語解説

注1. OSIRIS-REx(Origins, Spectral Interpretation, Resource Identification, Security, Regolith Explorer)(オサイリスレックス):アメリカ航空宇宙局(NASA)が主導する小惑星サンプルリターン計画。ベヌー(Bennu)から121.6gの岩石や砂を持ち帰ることに成功した。
OSIRIS-REx計画の情報について

注2. 小惑星べヌー (Bennu)(図1): OSIRIS-REx探査機がサンプルを採取し地球に帰還した直径約500メートルの小惑星。

注3. リボース:核酸のうちRNAを構成する分子の一つであり、糖の一種。宇宙物質からは少数の隕石で見つかっている。

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