気候変動に対応した牛と環境に優しい新規牛舎空調の実証実験

省エネと効率的冷却を実現する輻射式空調の畜産現場への実装に向けて

九州大学大学院農学研究院資源生物科学部門の森田康広准教授の研究グループは、株式会社エース・ウォーターと共同で、暑熱期における乳牛の快適性・生産性を向上させるために、九州大学農学部附属農場の乳牛舎へ壁面輻射冷暖房システム「ラディ・エース」を設置し、乳牛舎環境の改善、乳牛の生理学的変化を観察する。ラディ・エースは体育館などの大規模空間を効率的に冷暖房できる環境負荷の少ない省エネ型冷暖房システムである。本研究により、暑熱環境における乳牛の快適性創出、酪農の生産性向上という世界的課題に取り組む。

研究の背景と経緯

 気候変動による暑熱ストレスの増加は家畜の生産性低下を引き起こす。この暑熱ストレスによる生産性低下は世界中の畜産現場で問題になっており、どのようにこの問題に取り組むかは、世界の食糧安全保障にリンクする大きな課題である。日本を含むアジアにおいても大きな問題であり、特に乳牛を飼養している農家の経済損失は大きい。そのため、暑熱期における乳牛の快適性を創出し、酪農の生産性を向上させることが必要である。また、家畜の飼育環境の改善は、生産性の向上をもたらすだけでなく、倫理的側面から動物福祉の向上をもたらす。家畜がストレスなく健康に過ごし、最大限に生産能力を発揮できる飼育環境を構築することは、世界の畜産業の大きな目標である。

牛舎における輻射冷却の可能性

 れまで、半解放の大規模空間である牛舎において様々な冷房システムが試されているが、高温多湿な暑熱地域では冷房の最適解の構築には至っていない。本研究では、大規模空間ですでに実績があり、環境負荷の少ないラディ・エースを乳牛舎に導入することで、暑熱環境における牛舎空調の最適解が見出されることが期待される。
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研究者からひとこと

 高温多湿な環境であるアジア地域の暑熱環境下では、牛の快適性や生産性を従来の冷風や扇風機を用いた冷房システムによって向上させることは困難です。今回検討する省エネ型輻射冷暖房システムが牛舎の施設特性に合致し、今後の気候変動対策における一つの解答になることを期待しています。

お問い合わせ

大学院農学研究院 准教授 森田康広
電話:092-802-4531
Mail:morita.yasuhiro.362★m.kyushu-u.ac.jp
※メールアドレスの★を@に変更してください。

九州大学ホームページもご参照ください。

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