BlueMemeと共同研究を進める九州大学研究グループ、複雑ネットワークを“グループ”から読み解く新技術を開発

国際学術誌に掲載、SNSや医療・化学分野での応用に期待

生体防御医学研究所
藤田 アンドレ 教授

株式会社BlueMeme(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮脇 訓晴、以下 BlueMeme)は、ソフトウェア開発のさらなる効率化と高度化を目指し、2023年より九州大学との産学連携を通じて、ネットワーク構造の解析に関する共同研究を推進してまいりました。この取り組みの中で、BlueMemeと共同研究を行う九州大学 生体防御医学研究所の藤田アンドレ教授の研究グループが、複雑ネットワークの構造を分析する新たな手法を開発しました。

この研究成果は、複雑なシステムの構造を「グループ同士の関係性」から読み解くという独自のアプローチにより、SNSや感染症拡大モデル、化学反応ネットワークなどへの応用可能性が高い技術として国際的に評価され、2025年8月2日(土)、英国オックスフォード大学出版局が刊行する国際学術誌「Journal of Complex Networks※1」に掲載されました。

“点と点”ではなく“グループとグループ”のつながりに注目

これまでのネットワーク解析は、主に「個と個の関係(1対1)」に着目してきました。しかし、SNSのグループチャットや、代謝経路、脳内の活動ネットワークのように、複数の要素が同時に関わり合う“高次な関係性”が現実には数多く存在します。

そこで、この度の研究では「ハイパーグラフ」と呼ばれるネットワーク構造を活用し、複数の要素(ノード)を1つのまとまり(ハイパーエッジ)として扱うことで、より現実に即した複雑な関係を表現できるのが特長です。

藤田アンドレ教授の研究グループは、ハイパーグラフに含まれる“スペクトル(固有値の分布)“※2を解析することで、以下のような先進的な統計手法を構築しました:

・パラメータ推定:複雑な構造を数値的に捉える
・モデル選択:最適なネットワークモデルを自動的に選定
・構造比較(ANOHVA):複数のネットワークが同じ仕組みによって生成されているかどうかを比較分析
この枠組みにより、“グループ的な関係性”に基づいた構造解析が可能になり、社会・自然・医療など幅広い分野での活用が期待されています。

九州大学 藤田アンドレ教授 コメント

既存のアプローチがハイパーエッジの決定論的な変化に焦点を当てたり、単一の観察構造を前提とするのに対し、この手法はランダムな変動と構造的不確実性を考慮することの重要性を強調しています。本技術により、高次相互作用を含む現実世界の複雑なシステムを統計的に分析し、その背後にある生成メカニズムを理解し、異なるシステムの比較を行うための強力なツールとして幅広い応用が期待されます。

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