「きつ音」における修学時の合理的配慮に関する全国大学への初調査

~言語聴覚士の意見書でも根拠資料となることを周知する必要性~

九州大学病院
菊池 良和 助教

ポイント

・合理的配慮を受けた「きつ音」大学生は、2023年度が47名、2022年度が25名。
・合理的配慮の内容は、教員への「きつ音」の周知、発表形式の変更、出席返答、外部の実習への配慮など。
・根拠資料は医師の診断書だけではなく、障害者手帳、学内外の専門家の意見書、高校の支援の引継ぎも採用。

概要

大学が行ってきた「きつ音」学生に対する合理的配慮の実態を調査しました。調査対象は日本全国の大学751校で、2024年1月から3月の間に実施され、回収率は19.3%(145校)でした。2023年度に合理的配慮を受けた「きつ音」学生は47名、2022年度は25名と増加傾向であることを明らかにしました。合理的配慮の内容は、教員への吃音の周知、発表形式の変更、出席返答、外部の実習への配慮などでありました。合理的配慮の根拠資料として医師の診断書が最多でしたが、言語聴覚士など外部の専門家の意見書も採用されていました。2024年4月から私立大学も含め全国の大学等で合理的配慮が義務となったため、今回得られた知見は、修学に困難がある「きつ音」学生に広がる支援方法となるでしょう。

この調査は、九州大学病院耳鼻咽喉・頭頸部外科の中川尚志教授、菊池良和助教、山口優実博士、佐藤あおい言語聴覚士、南愛媛病院の岡部健一院長、長崎県立大学の吉田恵理子准教授、筑波大学の飯村大智助教、目白大学の坂崎弘幸専任講師、大分県立看護科学大学の矢野亜紀子助教、金沢大学の小林宏明教授を含む、計14名で構成された日本吃音・流暢性障害学会の合理的配慮に関するワーキンググループのメンバーによって実施されました。

今回の発見は、「きつ音」のある学生に対する大学側の修学時の合理的配慮の方法を整理し、今後の支援に役立つことが期待されます。本研究成果は日本国の学会誌「吃音・流暢性障害学研究」に2025年6月27日(金)午前11時(日本時間)に掲載されました。

菊池助教からひとこと

2024年4月1日「改正障害者差別解消法」が施行され、私立大学でも合理的配慮の提供が義務となりました。その根拠資料なるものとして、「障害者手帳または医師の診断書」しか示していない大学がたくさんあります。「きつ音」支援の専門家である言語聴覚士にかかっていても、医師の診断書のみを要求する大学があることが現場での問題点です。大学側と「きつ音」学生側の双方に周知の必要があります。

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九州大学病院 菊池良和 助教

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