トマトの病原菌を食べる菌を発見

作用メカニズムを解明、バイオ農薬開発に期待

農学研究院
西 大海 助教

ポイント

・トマト栽培で深刻な問題となっている葉かび病菌に対して、菌寄生菌Hansfordia pulvinataが産生する抗菌性化合物「デオキシフォメノン」の生合成遺伝子群を同定
・デオキシフォメノンの生合成遺伝子群が、麹菌などを含むAspergillus属の菌類から菌寄生菌に水平伝播※1したことを発見
・本化合物は元々、Aspergillus属で胞子形成を促進する役割を担っていたが、菌寄生菌では寄生する植物病原菌に対する抗菌性物質として利用するように進化
・将来的に環境に配慮した新たなバイオ農薬として実用化が期待される

概要

摂南大学(学長:久保康之)農学部農業生産学科の飯田祐一郎准教授と農学専攻博士後期課程2年生の前田和弥大学院生、同博士前期課程2年生の巖瑛心大学院生、理工学部生命科学科の西矢芳昭教授、滋賀県立大学の住田卓也講師、九州大学の西大海助教、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の中川博之上級研究員と須志田浩稔研究員(当時)、日本女子大学の鈴木智子助教(同)らの研究グループは、菌寄生菌(カビを食べるカビ)Hansfordia pulvinata(ハンスフォルディア プルビナータ)が他のカビで胞子を作るために使われていた化合物の合成能力を獲得し、病原菌に寄生しやすいように進化したことを発見しました。本研究の成果は新たなバイオ農薬(生物農薬)の開発につながり、環境に配慮した農作物の保護技術に貢献することが期待されます。

本研究の成果は、2025年4月9日にアメリカ微生物学会の国際学術誌「mBio」に論文が掲載されました。さらに本論文は、特に興味深い研究成果として編集者が厳選する「Editor’s Pick」に取り上げられました。

用語解説

※1 水平伝播:異なる個体間や生物間で遺伝子(または遺伝子群)が転移する現象。

詳細

本研究の詳細はこちらをご参照ください。

お問合せ先

農学研究院 西 大海 助教

《6/18開催》令和7年度第3回I²CNER Seminar

《6/14開催》マス・フォア・イノベーション連係学府説明会の開催について

関連記事

  1. 昆虫食の心理学(第62回 Q-AOS Brown…

    アジア・オセアニア研究教育機構准教授 錢 琨九州大学アジア・オセ…

  2. 「新食品素材・マイナーサブシステンスとしての昆虫…

    熱帯農学研究センター准教授 百村 帝彦 九州大学アジア・オセアニ…

  3. 培養装置の研究開発が農林水産省「令和5年度フード…

    ~農学研究院 中村真子教授とリックス株式会社の研究開発が農林水産省 令和5年…

  4. 【~7/19募集中】社会的課題解決に向けたアイデ…

    ~社会的課題解決に向けたアイデア・提言を募集します。~2024年9…

  5. 《1/29開催》第174回アジア・オセアニア研究…

    野村 久子 准教授(農学研究院 附属国際農業教育・研究推進センター)…

  6. ミャンマーの在来品種からイネ害虫に対する新たな抵…

    農学研究院山形 悦透 准教授虫に強いイネの品種改良が加速化ポ…

  7. 九州大学共創学部の学生が食料廃棄物から釣り餌をつ…

    ECYCLE PROJECT(エサイクルプロジェクト)昨今頻繁に取り…

  8. 《12/10開催》第215回アジア・オセアニア研…

    森田 康広 准教授(農学研究院 )九州大学アジア・オセアニア研究教育…