次世代電池の内部挙動シミュレーターの開発に成功

~体積膨張が激しい高容量電池の長寿命化・早期実用化に貢献~

工学研究院
井上 元 教授

ポイント

・カーボンニュートラル実現に必須である次世代電池のシミュレーターを開発
・活物質粒子の膨張・収縮と全固体電池の内部現象を統合的に評価
・全固体電池の早期実用化やDX技術を基盤としたデバイス開発に期待

概要

電気自動車や再生可能エネルギーの全世界的な利用普及には、高性能・安全・長寿命な電池の開発が必要不可欠です。全固体電池は、液体の電解質を用いないため、液漏れや発火のリスクがなく、容量も大きく、次世代電池として期待されています。しかしながら、電気を蓄える活物質が充電時に体積膨張を起こしてしまうため(シリコンの場合で最大300%)、性能低下が起きやすく、寿命が短いという課題があります。また、粒子の膨張と収縮に伴い、電池内部の構造が劇的に変化し続けてしまうため、どのように性能が低下していくのか、どうすれば寿命が延ばせるのかが、十分にわかっていませんでした。

今回、全固体電池の内部機構を解明するシミュレーターが開発されました。このシミュレーターでは、充電・放電に伴う活物質の膨張と収縮から、それに伴う電池全体の内部構造変化、電池としての性能変化やその要因までを詳細に可視化できます。

九州大学大学院工学研究院の宗 マグヌス 学術研究員/特任助教、井上 元 教授らの研究グループは、個々の粒子すべてに働く力を解析する技術と、電気化学反応を電位場や濃度場から計算する技術を組み合わせました。これにより、電池製造時の機械的な力から、粒子膨張に伴う内部構造変化、さらに電池の劣化までを統合的に再現できるようになりました。

今回のシミュレーターのように、粒子の動的な変形と電気化学反応計算を連成させた例は世界的にありません。このシミュレーターと、それにより得られる種々の計算結果は、全固体電池の高性能化と早期実用化に大きく貢献することが期待されます。

本研究成果は、Wiley社の国際誌「Advanced Functional Materials」に2025年2月9日(日)に掲載されました。

井上教授からひとこと

高度なDX技術を用いて、新規材料開発からシームレスにデバイス・システム化につなぐこのようなアプローチは、新たな研究開発戦略として有望と考えています。今後の展開にもどうぞご期待ください。

詳細

本研究の詳細はこちらをご参照ください。
お問合せは
工学研究院 井上 元 教授

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