小笠原諸島で独自の進化を遂げたと考えられるメイガ2新種を発見!

~これまで見過ごされていた?開張8 mmのガ~

農学研究院
松井 悠樹 学術研究員

ポイント

・世界自然遺産である小笠原諸島には固有の動植物が数多く生息しています。ガ類にも小笠原諸島の固有種は多く知られていますが、小型のガ類については調査が行き届いていない現状がありました。
・2022-2024年度にかけて行った小笠原諸島における調査により、メイガ上科のツトガ科に属するGlaucocharis属の2新種を発見し、Glaucocharis triocellaris ニシキエグリツトガ、Glaucocharis plumbofascialis ムニンエグリツトガと命名しました。
・本研究成果は小笠原諸島の世界自然遺産としての価値を高める発見であるとともに、海洋島における生物進化を考えるうえで興味深い研究対象になると思われます。

概要

 世界自然遺産である小笠原諸島は、島の成立以来一度も他の陸地と繋がったことがないことから、固有の動植物が数多く生息しています。ガ類にも小笠原諸島の固有種は多く知られており、特にメイガの仲間は小笠原諸島に生息する種のうち約25%の種が固有種であると考えられています。
今回、九州大学大学院農学研究院昆虫学教室の松井悠樹学術研究員らの研究チームは、このメイガの仲間に属するGlaucocharis属の2新種を小笠原諸島から発見し、Glaucocharis triocellaris ニシキエグリツトガ、Glaucocharis plumbofascialis ムニンエグリツトガと命名しました。Glaucocharis属は世界に約160種、日本に7種が知られていますが、今回見つかった新種は翅の斑紋や生殖器の形態がそれらの種から大きく逸脱しており、小笠原諸島において独自の進化を遂げたものと考えられます。また、2種は完全に同所的に生息し、どちらも幼虫はコケ(蘚類)を食べて育つことから、海洋島という隔絶された環境における種分化パターンを研究するうえで興味深い材料になると思われます。

本研究成果は動物分類学に関する国際誌「Zootaxa」に2024年12月2日(月)に掲載されました。

研究者からひとこと

小笠原諸島のメイガの仲間はかなり研究が進んでいるグループですが、今回見つかった新種はいずれも翅を開いても8 mmほどしかなく、これまで見過ごされていたと考えられます。小笠原諸島での野外調査はハードですが、様々な分類群に通じた研究者が調査を行うことでまだまだ未知の種が見つかると思っています。

お問い合わせ先

農学研究院 松井 悠樹 学術研究員

詳細

本研究の詳細はこちらをご参照ください。

遺伝子同士の距離変化が発現を調節する新たな仕組みを発見

メスの体内時計は時差ぼけに弱い

関連記事

  1. [1/30開催]Qst Lounge #8「我々…

    「我々はどのようにして野生動物と共存すべきか?」-狩猟の世界から学ぶ未来-…

  2. 世界で初めて造礁サンゴの骨格から微細マイクロプラ…

    破砕したプラスチックごみが千年規模で蓄積する可能性応用力学研究所磯辺…

  3. うみつなぎシンポ2023 ~続けていくこと~

    「うみつなぎシンポ2023~続けていくこと~」を開催いたします。九州…

  4. これまで分解しないとされていた市販の釣り糸が海洋…

    ―ゴーストギア(漁業系プラスチックごみ)問題解決の決定打に―ネガティブエ…

  5. 《9/10開催》第202回アジア・オセアニア研究…

    島田 幸治郎 助教(琉球大学)九州大学アジア・オセアニア研究教育機構…

  6. 10年ぶりに日本へ飛来した「冬の黄砂」の発生要因…

    冬でも起こりうる黄砂――強風・少雪・気候条件が重なった結果応用力学研究所…

  7. アフリカの栽培イネが芒(のぎ)を失った理由

    ~アジアとアフリカで異なる遺伝子の選抜が起きたことを解明~ポイント…

  8. 【12/14開催】超域うみしらべシンポジウム 『…

    ~『砂浜の来し方行く末を糸島半島で考えるー砂浜の保全・再生・管理の最新動向』…