大豆イソフラボンにより誘導されるマイクロRNAの肝保護作用の発見

~食品因子が誘導するマイクロRNAの肝線維化抑制作用~

ポイント

・肝線維化によって引き起こされる肝硬変や肝がんは深刻な社会課題となっています。
・食品の作用機構を探索する中で、高い安全性が期待できる治療標的を見出しました。
・肝線維化において高発現する因子を標的とすることで、副作用の少ない治療法の開発が期待されます。

概要

 食の欧米化や肥満の増大に伴い、世界的に肝線維化が問題となっています。肝線維化は肝硬変や肝がんなどを引き起こすため、有効な予防、治療法の確立が望まれています。
 エクオールは大豆イソフラボンが腸内細菌によって代謝されて、生成するポリフェノールの一種ですが、エクオールの産生能力は個人の腸内細菌叢に依存することが知られております。興味深いことに、エクオールを腸内で産生できる患者では、産生できない患者に比べて肝線維化の進行が遅いことが報告されていましたが、その具体的な仕組みは不明でした。
 九州⼤学大学院農学研究院の立花宏文主幹教授、熊添基文助教らのグループは、エクオールによって発現量が増加する機能未知のマイクロRNA であるmiR-12135 が強力な肝線維化抑制作用を発揮することを明らかにしました。さらに、その作用機構を明らかにする過程において、miR-12135 がITGA11 と呼ばれるコラーゲン受容体の発現を抑制することで抗線維化作用を発揮することを確認しました。このITGA11は肝線維化誘導時に異常に発現が増加すること、またITGA11ノックアウトマウスは生存可能であることが知られていることから、miR-12135やそれを誘導するエクオールが副作用の少ない新たな治療ツールとなることが期待できます。
 研究成果はCell誌 の姉妹誌「iScience」に2023年12⽉14⽇(現地時間)に公開されました。

エクオールによって発現量が増加する機能未知のマイクロRNA であるmiR-12135 が強力な肝線維化抑制作用を有することを発見しました。また、その作用機構解明の中で、新規標的因子 ITGA11の関与を明らかにしました。
TGFb 経路は線維化に重要ですが、当経路は幅広い生体維持にも重要であることから、恒常的な阻害は困難でした。
今回の我々の研究で、線維化時に特異的に増加するITGA11がこのTGFb 経路の異常活性化に必須であることを見出したため、ITGA11を標的とすることで、TGFb 経路の安全な制御が可能となることが期待されます。

用語解説

(※1) エクオール
大豆イソフラボンが腸内細菌によって代謝され生成されるポリフェノール
(※2) マイクロRNA
遺伝子の発現抑制を介して生体調節作用を有する安定性の高い短鎖RNA
(※3) TGFb 経路
TGFb 経路は線維化に重要ですが、当該機構は幅広い生体維持にも重要であることから、恒常的な阻害は困難でした。

詳細

詳細は九州大学プレスリリースをご参照ください。

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