Tsukushi遺伝子による脳神経幹細胞の制御メカニズムを解明

~水頭症の診断と新たな治療開発に期待~

ポイント

・Tsukushi遺伝子欠損マウスでは、水頭症患者と同様に脳室が拡大しますが、脳室にTsukushiタンパク質を投与すると脳室の拡大が抑制されました。
・行動解析を行ったところ、Tsukushi遺伝子欠損マウスは、歩行困難を伴い、不安様行動を示しました。
・原因不明の水頭症患者のTsukushi遺伝子配列を調べたところ、3箇所のアミノ酸置換変異が観察されました。

概要

  水頭症は、脳室が拡大して、脳室内での脳脊髄液が停滞し、頭蓋骨内の圧力が高まることにより発症する難病指定の特定疾患です。特に、特発性正常圧水頭症は、歩行障害・精神疾患・尿失禁などの症状を呈し、高齢化社会を迎える日本における患者数増加が懸念されていますが、その発症要因が不明であることから、本疾患の新規予防・治療薬の開発は喫緊の社会的課題となっています。今回の研究では、水頭症発症のメカニズムの解明につながる重要な研究結果を得ることができました。
 九州大学基幹教育院の太田訓正教授(研究当時:熊本大学大学院生命科学研究部)の研究グループは、熊本大学をはじめとする国内外の12大学、5研究所との共同研究により、自らが単離・命名したTsukushi遺伝子(*)が、水頭症の発症に関与していることを世界で初めて明らかにしました。 
 Tsukushi遺伝子欠損マウスでは、水頭症患者と同様に脳室が拡大しますが、脳室にTsukushiタンパク質を投与すると脳室の拡大が抑制されました。また、行動解析を行ったところ、Tsukushi遺伝子欠損マウスは、歩行困難を伴い、不安様行動を示しました。さらに、原因不明の水頭症患者のTsukushi遺伝子配列を調べたところ、3箇所のアミノ酸置換変異が観察されました。
 今後、Tsukushiを用いた水頭症診断と新たな治療法の開発に繋がることが期待されます。
 本研究成果は、2021年4月1日(木)午前3時(日本時間)に科学雑誌「Science Translational Medicine」で公開されました

用語解説

*Tsukushi遺伝子:ニワトリ初期胚における発現パターンが、土筆に似ていることから命名された分泌型タンパク質で、細胞外領域において情報を制御するシグナル仲介分子として機能します。

詳細

九州大学プレスリリースをご参照ください。

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