小笠原に回遊するアオウミガメのプラスチック汚染の実態を解明

~生命システムの成り立ちと破綻の予測や制御の道を拓く数理解析手法を開発~

応用力学研究所
中野 知香 助教

ポイント

・調査は小笠原母島で行い、消化管内容物の顕微鏡による観察、遺伝子の解析、炭素及び窒素安定同位体比分析の3つの手法を用いて、プラスチック汚染の実態を解明した。
・調査した10個体中7個体の消化管にプラスチックが存在していた。プラスチックの平均出現数は9.2±8.5(0〜31)であった。
・マクロプラスチック(1)に相当する10cm2〜1m2の大きさのものが56.5%を占めていた。
・アオウミガメが摂食していたプラスチックはその回遊域よりも広い範囲に起源を持つと推定され、摂食は越境汚染(2)であることが判明した。
・プラスチックを取り込んだ原因としては、主な餌である海藻に混在するプラスチックを摂取すること、餌のクラゲ類などと誤認していることが考えられる。

概要

立正大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所、九州大学の研究者及び学生(研究当時)で構成された研究グループは、小笠原諸島に来遊するアオウミガメ消化管に含まれるプラスチックについて調査し、プラスチック汚染の実態について明らかにしました。

この成果は2026年1月2日(日本時間1月3日)にPeerJ Life and Environment誌(電子版)に掲載されました。

用語解説

(1)プラスチックの大きさ:プラスチックの大きさは、1000nm以下のナノプラスチック、5mm以下のマイクロプラスチック、2.5cm以下のメソプラスチック、1m以下のマクロプラスチック、1m以上のメガプラスチックに区分される(GESAMP, 2015, Reports and Studies 96)。本研究ではプラスチックの形が不定型のものが多かったため、大きさの指標として面積を用いた。

(2)越境汚染:汚染物質が発生源から風、川、海流などで運ばれ、国境を越え拡がること。

詳細

本件の詳細についてはこちら

お問い合わせ先

応用力学研究所 中野知香 助教

高次元データから細胞運命の“かたち”を取り出す

[1/26-1/30開催]九州大学エネルギーウィーク2026

関連記事

  1. 【受賞】応用化学研究所 中野知香助教が科学技術振…

    中野知香助教(海洋プラスチック研究センター)が、科学技術振興機構(JST)が…

  2. 夏季東アジアの台風による極端降水の将来予測におい…

    ~台風の疑似温暖化実験~理学府博士後期課程3年 / 理学研究院呉 継…

  3. 《6/13開催》九州大学筑紫地区地域連携推進チー…

    海面の波と流れを通して見た地球環境 九州大学筑紫キャンパス・筑紫…

  4. 《1/10開催》【ABRIC公開シンポジウム】持…

    ~持続可能な養殖産業の創出に向けた九大 ABRIC の挑戦~九州大学…

  5. 【12/19開催】太平洋戦争を考える「マーシャル…

    ~ マーシャル諸島の記憶 ~ 太平洋戦争と核実験に翻弄された太平洋上…

  6. 《3/31-4/12開催》未来共創リーダー育成プ…

    学問と現実的な課題解決をつなぐ人材の育成当プログラムは、高度に幅…

  7. 3D&VR技術で、誰でもいつでもサンゴ礁を鑑賞で…

    〜最新技術を活用して、“自然資源”の保護につなげる社会実装プロジェクトを始動…

  8. 【6/6開催】科学潜水啓発シンポジウム「科学潜水…

    ~水中のフィールド科学の素晴らしさと安全にフィールド調査を進めるための考え方…