環境保全の重要課題への対応を投資家は重要なリスクと判断することが明らかに

~ 持続可能な投資に向けた企業と投資家の対話を促進する情報提供に貢献 ~

ポイント

・企業の事業特性が多様である中で、持続可能な投資の各評価基準の重要性は企業によって異なる。
・財務的マテリアリティ※1を経営戦略に組み込んでないことは株主から重要なリスクと見なされる。
・財務的マテリアリティを踏まえた環境評価の格付けは企業と投資家との対話で有用な情報となる。

概要

 持続可能な投資の増加に伴い、環境・社会・企業統治(ESG)情報の評価の重要性が高まっています。一方で、企業の事業特性は多様であり、特性の違いによって各ESG情報の項目の重要性は異なっています。しかしながら、財務的マテリアリティを明示的に考慮した形で、環境保全への取り組みの違いを投資家がどのように評価しているかについて、これまでの研究では明らかになっていませんでした。
 九州大学都市研究センターのJun Xie研究員、大学院工学研究院の馬奈木俊介主幹教授、Alexander Ryota Keeley准教授、大学院経済学研究院の藤井秀道教授、福岡大学商学部田中義孝講師らの研究グループは、2011年から2020年の間に1766社の米国上場企業の環境データを対象に分析を行い、投資家が重要課題に関連する環境保全に積極的ではない企業を高リスクの銘柄とみなし、そのリスクに対する補償を求めるという結果が明らかになりました。今回の発見は、投資戦略におけるESG要素の役割に関する議論に貢献し、持続可能で強靭な経済を実現するために財務的マテリアリティの考慮の重要性に科学的なエビデンスを与えるものです。
 本研究は国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(助成番号P14026)、JSPS科研費 (JP20H00648, JP22K20176)の助成を受けたものです。
 本研究成果は環境経済・環境経営分野のトップジャーナルである「Corporate Social Responsibility and Environmental Management」(2021 Impact Factor: 8.464)に2023年5月25日(水)(日本時間)に掲載されました。

用語解説

(※1) 財務的マテリアリティ
財務的マテリアリティは、企業の財務上重要な環境問題を指し、それらの問題が企業の価値や業績に与える影響を評価するための基準です。SASB(Sustainability Accounting Standards Board)は、企業が持続可能性に関する情報を開示する際に利用するための業種別の財務的マテリアリティ基準を提供しています。これにより、企業は環境問題を財務面で評価し、投資家や利害関係者に対してより具体的で比較可能な情報を提供することが可能となります。

詳細

詳細は九州大学プレスリリースをご参照ください。

第2回 Kyushu U Connect 「どうして宇宙は大切なのか?」

2023年度九州大学公開講座「現代数学入門」

関連記事

  1. 「未来共創リーダー育成プログラム」プログラム説明…

    「未来共創リーダー育成プログラム」プログラム説明会について未来共創リ…

  2. 人社系協働研究・教育コモンズ オムニバスセッショ…

    人社系協働研究・教育コモンズ オムニバスセッション『知の形成史』第1回…

  3. 「GDPの次」を測る 

    ― 国連の新しい進歩の羅針盤と、九州大学の新国富研究理事・副学長馬奈…

  4. [2/20開催]洋上風力分野のリカレント教育に係…

    我が国の洋上風力分野におけるリカレント教育の取組みの先進事例の紹介と産業界・…

  5. 《7/2開催》第193回アジア・オセアニア研究教…

    木附 誠一 教授(未来社会デザイン統括本部)九州大学アジア・オセアニ…

  6. [11/2開催]発見!九州の魅力と観光の未来(ア…

    九州の魅力と観光の未来について、各界を代表する方々に語り合ってもらいます…

  7. 【12/2開催】第1回アントレプレナーシップ教育…

    ~ 「グローバルな研究の観点から見たアントレプレナーシップ教育 ~我々は…

  8. 【学内向け】未来共創セミナー「海外で研究者になる…

    ~未来共創リーダー育成プログラム主催のセミナーを開催いたします~フロ…