~プラズマ基礎実験の新展開~
概要
プラズマ中でイオンと電子がつくるさまざまな大きさの”揺らぎ”の特徴を明らかにすることは、核融合発電の実現などにおいて重要な課題です。プラズマ中の揺らぎの研究は、大型ヘリカル装置のような大規模実験装置に加え、小規模な基礎実験装置でも精力的に行われています。核融合科学研究所の河内裕一特任助教、日本大学の佐々木真専任講師、九州大学の小菅佑輔准教授、京都大学の稲垣滋教授らの共同研究グループは、九州大学の直線型基礎プラズマ装置PANTA※において、従来研究されてきたイオンの運動サイズのミクロな揺らぎよりも、さらに100分の1小さい、電子の運動サイズの揺らぎの時空間構造を、世界で初めて詳細に観測することに成功しました。本研究は、大規模装置では観測が困難である電子の運動サイズの揺らぎを、小規模な基礎実験装置で観測可能な大きさに拡大することにより実現しました。本研究成果は、核融合研究のみならず、揺らぎに伴う宇宙プラズマの諸現象の解明にも大きく貢献することが期待されます。
この研究成果をまとめた論文がScientific Reportsに12月12日に掲載されました。
用語解説
※基礎プラズマ装置PANTA
九州大学応用力学研究所にある共同利用実験装置で、ヘルムホルツコイルによって均一な直線磁場を形成し、高周波によって円柱状の高密度(1019m-3)・低温(1万度)プラズマを生成している。国内唯一、世界でも有数の、プラズマ中の揺らぎの基礎研究に特化した実験装置で、超多チャンネルの電極アレイや反射計、可視光トモグラフィなどの揺らぎ計測のため多様な計測器を数多く有している。PANTAはPlasma Assembly for Nonlinear Turbulence Analysisに由来する。
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