世界⼀包括的な代謝物測定法の開発に成功

~ワンショットで親⽔性代謝物を⾼感度かつ網羅的に測定!メタボロミクスに⾰新!~

ポイント

・代謝物は疾患と密接に関わるため健康状態を把握するのに有益な指標になります。
・これまで⾼感度にかつ網羅的にメタボロームを測定する⽅法はありませんでした。
・メタボロームをワンショットで測定する⾰新的な分析⼿法の開発に成功しました。
・今後、様々な疾患メカニズムを解き明かす新規ツールとしての応⽤が期待されます。

概要

 タンパク質を構成するアミノ酸や、DNA を構成するATP などのヌクレオチドに代表される⽣体中の代謝物の総体をメタボロームと呼びます。メタボロームの中には様々な疾患と密接に関わるものが数多く⾒つかっており、これら数千にも及ぶ代謝物を⼀⻫計測することのできる分析⼿法が待望されていました。
 九州⼤学⽣体防御医学研究所の⾺場健史教授、和泉⾃泰准教授、中⾕航太学術研究員、髙橋政友助教の研究グループは、代謝物の極性と電荷特性 (陰イオン性、陽イオン性、両イオン性、⾮荷電) の違いを利⽤したunified-HILIC/AEX という新規分離戦略を⽤いることで、ワンショットで親⽔性メタボロームを⾼感度かつ網羅的に測定する⽅法を開発することに成功しました。
 本研究で開発した分析法では、液体クロマトグラフィー (※1) によりメタボロームを分離し、分離した代謝物を質量分析 (※2) で⾼感度に検出します。この液体クロマトグラフィーでの合理的かつ効率的な分離のために、当該研究グループでは独⾃の分離カラムを作製し、新しいunified-HILIC/AEX/MS という分離・検出⼿法を開発しました。
 Unified-HILIC/AEX/MS は、極性の違いにより陽イオン性、両イオン性、⾮荷電の親⽔性代謝物を分離分析する親⽔性相互作⽤クロマトグラフィー (HILIC ※3) からまず始まり、次いでイオン強度の違いにより陰イオン性の代謝物を分離する陰イオン交換クロマトグラフィー (AEX ※4 ) を連続で⾏い、最終的にクロマト分離した幅広い代謝物をMS にて⾼感度検出・定量可能です。これまで世界で頻⽤されている代謝物測定法と⽐較すると、本⼿法では約2 倍の情報量が得られることが分かりました。今後、本⼿法は世界各国で汎⽤されている代謝計測を⼀新し、様々な疾患メカニズムを解き明かす新規ツールとして応⽤されることが期待されます。
 本研究成果は、⽶国の国際科学誌「Analytical Chemistry」に2022 年11 ⽉25 ⽇(⾦)に掲載されました。

用語解説

(※1)液体クロマトグラフィー
化合物を分離する⼿法。移動相として⽔や有機溶媒などの液体を使⽤する。測定試料は移動相と⼀緒にカラム内をとおり、カラム内の固定相と相互作⽤をしながら分離される。相互作⽤の強さにより化合物が溶出する時間が異なるため、この溶出時間を特定の化合物の同定に使⽤することができる。
(※2)質量分析
分⼦をイオン化し、⾶⾏しているイオンの質量電荷⽐ (質量数÷電荷数) を電気的・磁気的な作⽤によって分離し、検出する分析⽅法。
(※3)HILIC
液体クロマトグラフィーにおいて、相互作⽤の種類によって分離モードの呼称が異なる。親⽔性相互作⽤を利⽤して化合物を分離する⽅法を親⽔性相互作⽤クロマトグラフィー(Hydrophilic interaction chromatography, HILIC) と呼ぶ。
(※4)AEX
液体クロマトグラフィーのうち、相互作⽤がイオン性相互作⽤によるものをイオンクロマトグラフィーと呼ぶ。特に、陰イオンが分析対象の場合は、陰イオン交換クロマトグラフィー (Anion exchange chromatography, AEX) と呼ぶ。

詳細

詳細はプレスリリースをご参照ください。

「若手研究者育成・研究支援事業基金」の支援募集を開始

【申込期間延長】 九州大学高等研究院主催「特別主幹教授講演会」

関連記事

  1. 進行肺がん複合免疫療法における新規治療予測効果因…

    〜 血漿中の傷害関連分子パターン(DAMP)分子解析 〜 免疫チェッ…

  2. 《12/10開催》第215回アジア・オセアニア研…

    森田 康広 准教授(農学研究院 )九州大学アジア・オセアニア研究教育…

  3. BlueMemeと九州大学、量子AIを活用した先…

    創薬・医療研究の新たな可能性を切り拓く量子機械学習モデル「QTFPred」を…

  4. 全国8地域からなる大規模認知症コホート研究で糖代…

    医学研究院二宮 利治 教授概要 金沢大学医薬保健研究域医…

  5. 《1/30開催》九大臨床遺伝セミナー「ゲノムに教…

    「ゲノムに教えてもらう遺伝のこと~遺伝性腫瘍の10万人規模のゲノム解析~…

  6. 【~7/19募集中】社会的課題解決に向けたアイデ…

    ~社会的課題解決に向けたアイデア・提言を募集します。~2024年9…

  7. ゲノム編集により海洋真核微生物の高度不飽和脂肪酸…

    ー遺伝子組換えを伴わずに炭素鎖長や不飽和度の異なる様々な有用脂肪酸の生産が可…

  8. 九州大学大学院医学研究院とオークランド・ユニサー…

    ワクチン研究とデータを共有し、世界的なワクチン研究の効率化を目指すこ…