環境中に漏れた全世界のプラスチックごみ約60年分の行方を解析

環境中に漏れた全世界のプラスチックごみ約60年分の行方を解析

ポイント

・本研究は、1960年代から現在までに海に漏れ、海岸漂着や漂流しているもの、マイクロプラスチック(※1)になったものなど、「海洋プラスチック」の行方を世界で初めて重量ベースで明らかにした。
・その結果、たとえ海の底に沈むなど観測から漏れてしまうプラスチックを全て足し合わせても、海洋プラスチックの総量は2,500万トン程度にしかならず、同じ60年間に陸上で環境に漏れたと推計されるプラスチックごみの僅か5%に満たないことが判明した。
・陸上で行方がわからなくなっている残りの約95%(5億トン程度)のプラスチックごみの行方は、今後、広範な環境科学の研究者が関わるべきテーマである。

概要

 環境中に捨てられたプラスチックごみは、細かく砕けることはあっても分解することはありません。プラスチックのまま数百年から千年規模で自然界に残り続けると言われています。それでは、現在までに世界中で捨てられたプラスチックごみは、どこに行ったのでしょうか。
 このたび、九州大学応用力学研究所の磯辺篤彦教授と、(国研)土木研究所寒地土木研究所の岩﨑慎介研究員は、漂流・漂着するプラスチックごみやマイクロプラスチック(プラスチックごみが破砕してできた微細片)の動きを、全世界の海で再現するコンピュータ・シミュレーションを開発しました。シミュレーションを利用することで、世界の海岸に漂着したプラスチックごみ量や、海面近くの漂流マイクロプラスチックの量の再現に成功しました。そして、このシミュレーションを用いて、1960年代から現在までの約60年間に、川から海に流れ出たプラスチックごみや、海洋投棄されたプラスチックごみの行方を解析しました。
 世界の海に流出したプラスチックごみのうち、約26%(660万トン)は目視できるサイズのプラスチックごみとして、約7%(180万トン)はマイクロプラスチックとして、いまも漂流と漂着を繰り返していることがわかりました。そして、約67%(1,680万トン)は、マイクロプラスチックに破砕したのち、海水より重い素材のため海底に沈んだものや、漂流中の生物付着で重くなって海底に沈んだものなど、すでに海岸や海面近くから姿を消したと推計されました。また、たとえ姿を消したプラスチックを全て足し合わせても、2,500万トン程度にしかならず、同じ60年間に陸上で捨てられたと推計されるプラスチックの約5%であることがわかりました。残りの約95%(5億トン程度)は陸上で行方がわからなくなっているようです。
 本研究成果は、大阪G20サミットで宣言された「海洋プラスチックの追加的な汚染を2050年までにゼロとする」との大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの実現に向けて、陸から海に至るプラスチックごみ量の削減計画策定に役立つことが期待されます。
 本研究成果は、2022年2月19日(現地時間)に国際学術誌Science of the Total Environmentで公表されました。

用語の解説

(※1) マイクロプラスチック
プラスチックごみが長期間の紫外線照射などを経て劣化し、海岸で波に揉まれるなどの物理的な刺激によって細かく破砕を繰り返した微細なプラスチック片のこと。長さが5 mmを下回る程度のプラスチック微細片をマイクロプラスチックと呼ぶことが一般的

詳細

九州大学プレスリリースをご参照ください。

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