地震活動から断層の状態を読み取る
理学研究院
松本 聡 教授
ポイント
・地震の「起こりやすさの状態」を示す新しい指標「地震モーメント効率(Mstk/M₀)(※1)」を提案
・熊本地震や米国リッジクレスト地震の解析で、M6級地震の後でも大地震の可能性が残る場合があることを確認
・地震直後の状態評価に役立つ可能性があり、将来の防災への応用が期待
概要
従来は、地震後に地下の断層がどのような状態にあるのか、すなわちさらに大きな地震が起こりやすい状態にあるのかどうかを評価することが困難であり、地震発生直後の断層の状態変化の解明が望まれていました。
本研究では、地震活動から断層周辺の状態を評価する指標「臨界度=地震モーメント効率(Mstk/M₀)」を用いることで、M6級地震の後でも大きな地震が発生する可能性がある状態を識別できる可能性を示しました。
九州大学大学院理学研究院の松本聡教授、松島健特任教授および相澤広記准教授らの研究グループは、2016年熊本地震および2019年米国リッジクレスト地震を対象に、小規模地震の発生様式を詳細に解析しました。その結果、地震のすべり方のばらつきを統合した指標である地震モーメント効率(Mstk/M₀)が高い状態では、断層が大きな地震を引き起こしやすい状態にある可能性があることを明らかにしました。また、日本国内の複数の地震についても同様の解析を行い、同様の傾向が確認されました。
今回の発見は、地震発生直後の地下状態を評価する新たな手法として、将来的に地震活動の理解や防災判断に役立つ可能性があります。今後は、さまざまな地域や異なるタイプの地震に適用し、指標の有効性をさらに検証していく必要があります。
本研究成果は、2026年4月28日(日本時間)に国際学術誌「Scientific Reports」に掲載されました。
研究者からひとこと
熊本地震発生前から多くの自治体や住民の方々、また研究者や学生の皆さんのご協力によって地震観測を行うことができ、詳しい解析を進められました。心より感謝申し上げます。これからも精密な観測で地下からの情報をつかんでいきます。(松本聡)
用語解説
※1 地震モーメント効率(Mstk/M₀)
複数の地震のすべり方をまとめて評価し、地下の変形がどの程度一方向にそろっているかを示す指標。値が高いほど、大きな地震が起こりやすい状態に近い可能性がある。
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