2024年能登半島地震の海岸隆起によって“露出”した日本海の沿岸生態系が明らかに

総合研究博物館
加藤 萌 助教

概要

金沢大学国際基幹教育院GS教育系の佐藤圭講師および理工研究域地球社会基盤学系のジェンキンズロバート准教授、千葉県立中央博物館分館海の博物館の照屋清之介研究員、九州大学総合研究博物館の加藤萌助教(研究当時:金沢大学ダイバーシティ推進機構特任助教)からなる共同研究グループは、能登半島外浦地域の岩礁海岸において、令和6年能登半島地震(M7.6)による国内最大級の沿岸隆起で陸上に露出した沿岸生物相を詳細に記録しました。

能登半島北西部の鹿磯(かいそ)漁港周辺では、地震によって鉛直方向に約3.6~3.9mという劇的な隆起が発生しました。この急激な地形の変化によって、本来潜水調査でしか到達できない潮下帯(※1)の生物群集が、生きていた当時のままの配置で陸上に曝け出されました。本研究グループは、地震発生から66日後という早期から現地調査を開始し、鹿磯漁港周辺の底生生物の遺骸群集を詳細に分析することで、地震発生前にそこにあった豊かな生態系の構造を、かつてない精度で復元することに成功しました。本研究は、日本海という特殊な半閉鎖的海域において、突発的な地質学的事象が沿岸生態系に与える衝撃を記録した世界的にも貴重な報告です。本研究で得られた知見は将来、地球温暖化と同時に進行するであろう震災後の生態系回復プロセスをモニタリングするうえでの基礎的データとして活用されることが期待されます。

本研究成果は、2026年2月28日に日本プランクトン学会と日本ベントス学会の合同誌『Plankton and Benthos Research』のオンライン版に掲載されました。

用語解説

※1 潮下帯
最も潮が引いた時(低潮時)でも海面下にあり、常に水に浸かっている場所のこと。今回の地震では、本来であれば決して陸上に現れることのないこのエリアまでもが、数メートルにわたって干上がってしまったことが大きな特徴です。

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