地震の頻度分布と発生効率から見た大地震の切迫度

~2016年熊本地震前後の活動への適用~

理学研究院
松本 聡 教授

ポイント

・日ごろの地震活動から大地震が起こる可能性を見積もることは社会的に重要。
・詳細な観測データをもとに地震の「効率」評価を提案。
・2016年熊本地震前後の活動に適用し、地震の発生位置を特定できる可能性を示した。

概要

この研究では、小さな地震の数の分布(b値)と、大きな地震が起こる前ぶれとの関係に注目しました。b値は、地震が起きる断層の「ストレス(応力)の大きさ」や、「強さへの切迫度」を示すと考えられていますが、これらを区別することや実際にどう関係しているかはまだはっきりしていません。

そこで九州大学大学院理学研究院の松本聡教授は、新たに「効率」という指標を提案しました。これは、ある範囲の中で発生した地震のモーメント(地震エネルギーのようなもの)を使って、その領域の岩盤がどれだけ“効率よく”壊れているかを示します。この効率は、岩盤の強さ(モール・クーロン破壊条件)と関係があります。この効率が高いと、大きい地震を起こしやすい傾向があり、より「強さへの切迫度」が高いといえます。

2016年に起きた熊本地震の前後の地震活動を調べたところ、この「効率」とb値を組み合わせて見ることで、本震(大地震)が始まる場所をうまく特定できました。

つまり、「b値」と「効率」の両方を使えば、地震の発生場所をより正確につかみ、災害の備えに役立てることができる可能性があります。

本研究成果は英国の雑誌「Scientific Reports」に2025年5月19日(月)に掲載されました。

研究者からひとこと

熊本地震発生前から多くの自治体や住民の方々、また研究者や学生の皆さんのご協力によって地震観測を行うことができ、詳しい解析を進められました。心より感謝申し上げます。

詳細

本研究の詳細はこちらをご参照ください。

お問合せ先

理学研究院 松本 聡 教授

《8/7-8/8開催》現代数学入門

有機分子の励起状態構造を解明する新手法を開発

関連記事

  1. 地震のマグニチュード-頻度特性の断層強度依存性と…

    理学研究院松本 聡 教授超多点観測から見えてきた、新たな地震活動の見…

  2. 河瀨直美監督によるトーク&映画「朝が来る」上映・…

    河瀨直美監督によるトーク&映画「朝が来る」上映・パネルディスカッション 開催…

  3. 九大フィル第207回定期演奏会オンライン配信のお…

    九大フィル第207回定期演奏会オンライン配信のお知らせアーカイブ…

  4. 【9/3開催】未来社会デザイン統括本部&データ駆…

    ~未来社会デザイン統括本部&データ駆動イノベーション推進本部 合同シンポジウ…

  5. 【7/21開催】「音楽と非人間」 第3回 …

     ~演奏者ファビオ・ランベッリ氏~コンサート・コンセプト『音楽と非人…

  6. 未来共創セミナー「ラオスの災害リスク管理とその課…

    ~「ラオスの災害リスク管理とその課題 -日本の経験は役立つか-」~ …

  7. 映画『記憶の戦争』上映会&トークイベント

    映画『記憶の戦争』上映会&トークイベント韓国研究センターでは、映画『…

  8. 【11/25開催】オープンシンポジウム:地球の声…

    ~防災、健康、農業、産業、マーケッティング関連などで環境モニタリングに関心…