発育性股関節形成不全の遺伝的リスクが変形性股関節症発症へ与える影響を解明

〜変形性股関節症の病態解明に期待

ポイント

・発育性股関節形成不全による変形性股関節症発症への遺伝的要因の影響は十分に解明されていない。
・発育性股関節形成不全の遺伝的リスクが変形性股関節症発症や重症化に関与することを示した。
・ゲノムレベルでの発育性股関節形成不全や変形性股関節症における遺伝子研究の価値を保証するものであり、今後のゲノム研究による両疾患の病態解明が期待される。

概要

 変形性関節症は世界最多の関節炎であり、病態解明が強く求められています。変形性関節症の中でも股関節痛を来す変形性股関節症のリスクとして、股関節の発達が不十分で軟骨の摩耗を生じやすい発育性股関節形成不全が指摘されてきました。発育性股関節形成不全の病態が分かれば変形性股関節症の理解につながりますが、その病態と変形性股関節症への進展要因は十分分かっておらず、特に遺伝的要因については不明でした。
 我々は、これまで論理的に解明されていなかった発育性股関節形成不全の遺伝的なリスクがもたらす変形性股関節症の進行への影響を明らかにしました。
 九州大学大学院医学研究院整形外科教室の吉野宗一郎大学院生(医学系学府博士課程4年、理化学研究所リサーチアソシエイト)、中島康晴教授、山口亮介助教、田中秀直大学院生(医学系学府博士課程4年)、理化学研究所生命医科学研究センターゲノム解析応用研究チームの寺尾知可史チームリーダー(静岡県立総合病院免疫研究部長、静岡県立大学特任教授)、同センター骨関節疾患研究チーム(研究当時)の池川志郎チームリーダー(研究当時)らの共同研究グループは、発育性股関節形成不全の患者様から聴取した詳細な家族歴や発症年齢、治療歴などの情報を解析し、発育性股関節形成不全の遺伝的リスクが強いほど変形性股関節症の発症や進行が早まることを明らかにしました。
 今回の発見は発育性股関節形成不全や変形性股関節症の病態解明に役立つことが期待されます。
 本研究結果は米国の科学雑誌「The Journal of Arthroplasty」に2023年9月13日(現地時間)に公開されました。

詳細

詳細はこちらをご参照ください。

【11/6開催】【博士・ポスドク対象】博士人材のための企業説明会の開催について

九州大学大学院芸術工学府と統合新領域学府の国際的な学生チームが九州初の大型燃料電池バスのデザインを担当しました

関連記事

  1. 最重要MRI プローブであるピルビン酸の光を⽤い…

     ~ ¹³C-MRI による癌診断応⽤への重要な⼀歩 ~ ポイン…

  2. 網膜形成を担う網膜前駆細胞の分化・再生機能を長く…

    ~網膜再生研究への応用に~医学研究院中島 欽一 教授概要…

  3. 脂質の酸化を抑える薬の効率的な探索法を開発

    薬学研究院山田健一 主幹教授加齢黄斑変性や血管性認知症などに対する薬…

  4. 口腔特有の腫瘍・エナメル上皮腫の腫瘍形成機構を解…

    ~エナメル上皮腫の新たな診断や治療に期待~  エナメル上皮腫は歯原性…

  5. 新型コロナウイルスワクチン2回接種後の発熱は、よ…

    ~―副反応出現後の解熱鎮痛剤内服による悪影響は観察されず~ポイント…

  6. 【学内向け】日本医療研究開発機構 九州大学 A…

    【学内向け】日本医療研究開発機構 九州大学  AMED-CREST, PRI…

  7. 卵子の染色体は外側ほど気難しい

    -染色体分配の準備に潜む紡錘体内の空間差を発見-農学研究院三品 達平…

  8. オートファジーによるミトコンドリア分解の仕組みと…

    ~隔離膜はミトコンドリアに密着して伸長する~医学研究院山下 俊一 助…