全固体電池向け固体電解質-電極材間における焼結時の反応メカニズム解明と反応抑止に成功

~低コストプロセスで製造する全固体電池実現に前進~

総合理工学研究院
渡邉 賢 准教授

ポイント

・電極材構成元素の、高温下における低価数化が反応起点であることを解明
・価数維持と自己反応防止層形成ができる独自電極材で反応抑止
・独自電極材を用いた酸化物全固体電池の作動を確認

概要

酸化物系電解質を用いた全固体電池は、発火や有毒ガス発生のない安全性の高い電池です。電解質の1種であるLi7La3Zr2O12(LLZ)は高いイオン伝導率・広い電位窓を有するため、有望な材料とされています。しかし、材料間を接合するために高温焼結(≥ 1000 °C)が必要であり、電解質材と電極材が反応してしまい電池化が困難です。特に、ニッケルを多く含むLiNi0.6Mn0.2Co0.2O2(NMC622)に代表されるような三元系高容量電極材との間で反応が起こりやすく、そのメカニズムや抑止方法は未解明でした。

九州大学大学院総合理工学研究院の渡邉賢准教授、株式会社デンソー(当時:九州大学大学院総合理工学府博士課程3年)の林真大の研究グループは、放射光はじめとする様々な分析手法を活用し、反応メカニズムを解明しました。分析の結果、電極材に含まれる遷移元素(ニッケル、コバルト)が、高温下において低価数状態に変化することで、リチウムとの占有位置交換を促し、LLZとの反応を促進していることを突き止めました。本メカニズムに基づき、遷移元素の価数維持実現・電極材表面への反応防止層配置が有効な抑止手段であるとし、これらを備えた独自電極材を材料合成時の組成制御のみの簡便な手法にて創製しました。本独自電極材と、これまで当研究グループで開発した低温焼結可能なLLZを組み合わせることで、材料間の反応抑止に成功しました。作成した全固体電池は繰り返しの充放電が可能であることを実証しました。

本研究成果はWiley社の国際学術誌「Advanced Science」に2025年8月29日(現地時間)に掲載されました。

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総合理工学研究院 渡邉賢 准教授

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