酸化型グルタチオンが慢性心不全の予後を改善することを発見

薬学研究院
西田 基宏 教授

ポイント

・抗酸化能を持たない酸化型グルタチオンをマウスに投与することで心筋梗塞の予後が改善されることを見出しました。
・酸化型グルタチオンはミトコンドリア分裂を制御するDrp1タンパク質のシステイン超硫黄鎖と直接結合し、グルタチオン化修飾を引き起こすことがわかりました。
・心筋梗塞時に起こるDrp1の異常活性化はグルタチオン化によって抑制されることがわかりました。

概要

日本の心不全*1患者数は増加の一途を辿っています。心不全増悪の一因として考えられているのは、過剰な酸化ストレスであるため、生体内で活性酸素などの除去(抗酸化)を担うグルタチオン*2が注目されています。しかし還元型グルタチオン(GSH)を始めとする様々な抗酸化療法の多くは失敗に終わってきました。今回、自然科学研究機構生理学研究所/生命創成探究センター(ExCELLS)の西村明幸特任准教授と西田基宏教授(九州大学大学院薬学研究院と兼任)らの研究グループは、東北大学や筑波大学などとの共同で、これまで注目されてこなかった酸化型グルタチオン(GSSG)が慢性心不全の予後改善に有効であることを、心不全モデルマウスを用いて明らかにしました。本研究成果は英国雑誌「Nature Communications」に2025年1月3日に掲載されました。

用語解説

*1心不全:心臓のポンプ機能が低下し全身に十分量の血液を送り出すことができない状態。超高齢化社会の到来に伴って日本の心不全患者も増加の一途を辿っている。

*2グルタチオン:生体内に豊富に存在する抗酸化能を持った物質で、3つのアミノ酸(グルタミン酸、システイン、グリシン)から成るトリペプチド。SH基をもつ還元型グルタチオン(GSH)は活性酸素と反応・除去(抗酸化)する過程で、ジスルフィド結合(S-S)でつながった酸化型グルタチオン(GSSG)に変換される。

詳細

本研究の詳細はこちらをご参照ください。

お問い合わせ先

薬学研究院 西田基宏教授

AI規制と倫理的ロボットデザイン

マヨネーズとガラスの隠れたつながりを発見!

関連記事

  1. ナチュラルキラーT(NKT)細胞を活性化する自己…

    〜新たながん免疫療法への応用に期待〜生体防御医学研究所和泉 自泰 准…

  2. 生殖細胞とがん細胞は同じ動きで血管外へ脱出する

    〜がん転移の理解を深め、転移を抑える新たな治療戦略に期待〜理学研究院…

  3. 【12/20開催】第125回アジア・オセアニア研…

    九州大学 歯学研究院 歯学部門 重村 憲徳 教授九州大学アジア・…

  4. 九州大学が「令和6年度福岡市血液事業功労者」とし…

    ~九州大学は、福岡市献血推進協議会より「令和6年度福岡市血液事業功労者」とし…

  5. 《1/11開催》九州・沖縄地域小児がん医療提供体…

    ~小児がんのくすりの未来~九州・沖縄地域小児がん医療提供体制協議会で…

  6. 細胞シートを構成する細胞同士が均一な力でお互いを…

    細胞シートを構成する細胞同士が均一な力でお互いを引きあう仕組みを解明…

  7. ウイルス排出量のピークが早い!新型コロナウイルス…

    -数理科学を駆使した異分野融合生物学研究の最前線- 九州大学大学院理…

  8. 九州大学生命科学革新実現化拠点と福岡市はライフサ…

    ~九州大学が国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による「橋渡し研…