細胞シートを構成する細胞同士が均一な力でお互いを引きあう仕組みを解明

細胞シートを構成する細胞同士が均一な力でお互いを引きあう仕組みを解明

 私たちの体の表面や器官の表面は、上皮細胞と呼ばれる細胞のシートによって覆われています。シートを構成する細胞は、隣り合う細胞同士が、同じ力で互いに引っ張り合うことにより、細胞のサイズを均一に保っています。体が形作られる過程では、特定の上皮細胞が他の上皮細胞をより強い力で引っ張ることで、細胞シートを湾曲させ、神経管などの管構造を形成しますが、平面的な細胞のシートを維持するためには、常に、隣接した細胞は同じ力で引きあう必要があります。この細胞同士が引っ張り合う力の均衡が、どのようにして保たれているかについては、不明な点が多く残されていました。
 九州大学大学院理学研究院の池ノ内順一教授、松沢健司講師、同大学大学院システム生命科学府の大賀勇人大学院生(研究当時)らの研究グループは、新潟大学大学院医歯学総合研究科薬理学分野の平島正則教授、椎谷友博助教との共同研究で、MAGI、RASSF、ASPPの3種類の遺伝子からなるタンパク質複合体が、上皮細胞の細胞間接着部位に局在し、上皮細胞シートの張力の均衡を保つ上で必要であることを明らかにしました。これらの遺伝子を欠損した上皮細胞のシートは、細胞同士が引っ張り合う力の均衡が破れて、細胞シートを構成する細胞のサイズが不均一になります。MAGI、RASSF、ASPPの3者複合体は、隣接した上皮細胞間において、それぞれの細胞の収縮力を制御するミオシンの活性が等しくなるように調整する役割を担っています。このような細胞同士の間に生じる機械的な張力を介した情報伝達は、上皮細胞の増殖や運動を制御する重要な役割を担うことが近年明らかになっており、今回の成果は、上皮細胞の異常によって生じる癌の病態解明にもつながることが期待されます。また、平島教授らは以前の研究でASPP遺伝子の異常は胎児浮腫の原因となることを見出しており、胎児浮腫の新たな治療法を開発する上で基礎となる知見です。
 本研究は、文部科学省・日本学術振興会の科学研究費等の支援を受けて行われました。
 本研究成果は、2021 年 3 月 12 日(金)午後 7 時(日本時間)に英国科学雑誌『Communications Biology』に掲載されました。

詳細

九州大学プレスリリースをご参照ください。

国際シンポジウム 「アジアからの高大接続–国際アドミッションにおける 日本式教育と予備教育」

九大会員特典のお知らせ 「劇団四季(福岡:キャナルシティ劇場)」

関連記事

  1. 空気を原料とするプラズマで長尺細管内を高速に滅菌…

    ~ カテーテルのような複雑形状を持つ構造体の滅菌を実現 ~ ポイン…

  2. 硬くて柔らかいナノ多孔性材料が実現する室温核偏極…

    ~医療で用いられるMRIの高感度化を目指した技術を開発~ 化学分野や…

  3. ジャン・モネ・セミナー「駐日欧州連合代表部 ハイ…

    ジャン・モネ・セミナー「駐日欧州連合代表部 ハイツェ・ジーメルス臨時代理大使…

  4. 「フレキシブル有機環境発電デバイスの開発と実用展…

    株式会社リコー(社長執行役員:大山 晃)と国立大学法人 九州大学(総…

  5. 胸部X線動態撮影から肺塞栓症を診断するシステムを…

    ~世界初!慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症の検出における有用性を証明~ポイ…

  6. 新型コロナウイルス排出と粘膜抗体の関係を解明

    ~呼吸器ウイルスのヒト間伝播を制御・予防する第一歩~ポイント…

  7. 鉄系高温超伝導体で世界最高の超伝導電流を実現!

    ~強磁場発生用磁石応用へ前進~ポイント・強磁場中で大きな超伝導電…

  8. 【3/13開催】第135回アジア・オセアニア研究…

    ~九州大学 武田秀太郎 准教授(都市研究センター)九州大学アジア・オ…