環境に関する情報開示と保全取組が経済パフォーマンスを向上させることを解明

~世界34ヵ国8,547社を対象としたデータ解析より関係性を明らかに~

経済学研究院
藤井 秀道 教授

ポイント

・企業の業績に影響を与えうるサステナビリティ課題の情報開示が2027年より義務化の見込み
・環境に関する情報開示や保全取組が進んでいる企業ほど利益率や企業価値が上昇している
・先進国で経済パフォーマンスの向上が多く確認できる一方で途上国での効果は限定的である

概要

 気候変動対策や生物多様性の保全に向けて、企業への環境保全取り組みの要請は高まっています。すでに国際会計基準においてサステナビリティ開示基準が制定されており、日本では2027年より企業の業績に影響を与えうるサステナビリティ課題に関する情報開示の義務化が見込まれています。こうした世界的な取り組みが進む一方、環境に関する情報開示や保全取組を行うことで得られる経済パフォーマンスへの影響については十分に明らかにされておらず、特に複数国を分析対象とした国際比較研究は限定的でした。
九州大学大学院経済学研究院の藤井秀道教授、大学院経済学府の沈思語氏、九州大学都市研究センターのJun Xie助教、九州大学大学院工学研究院のAlexander Ryota Keeley准教授、馬奈木俊介主幹教授は、2015年から2022年における世界34ヵ国8,547社を対象にデータ解析を行い、企業の環境に関する情報開示及び保全取組が経済パフォーマンス(利益率、企業価値、資本調達コスト)に与える影響を明らかにしました。解析結果より、企業の環境課題への対応は経済パフォーマンスを改善させる効果が示され、その効果は先進国において顕著に観測されました。これらの分析結果は、企業に対して環境課題への対応を促すための政策立案に有用な情報として活用されることが期待されます。

本研究成果は環境経済・環境経営分野のトップジャーナルである「Corporate Social Responsibility and Environmental Management」(2023 Impact Factor: 8.3)のオンライン速報版に、2024 年 12月11日(水)午前5時(日本時間)に掲載されました。

お問い合わせ先

経済学研究院 藤井 秀道 教授

詳細

本研究の詳細はこちらをご参照ください。

《1/9開催》第2回高等研究院フォーラム

【12/18開催】第170回アジア・オセアニア研究教育機構(Q-AOS)Brown Bag Seminar Series「薬剤耐性菌の動向と対策」

関連記事

  1. 木材由来、電気特性と3D構造を カスタマイズでき…

    ―持続可能なエレクトロニクスの実現に道―ポイント・木材由来、電気…

  2. シンポジウム「イノベーションを生み出すビジネス融…

    シンポジウム「イノベーションを生み出すビジネス融合型デザイン教育」開催のお知…

  3. EarthCARE衛星で雲内部の鉛直運動を検証す…

    ―衛星観測データと高解像度全球雲解像モデルの相補的活用が示す展望―応用力…

  4. 【学内向け】令和4年度 ワーク・ライフ・バランス…

    ~親の介護、僕らはどうする?ケア役割に向き合い、分かち合うためのオトコの作法…

  5. 《7/11開催》第9回海洋プラスチック研究会

    ~第9回海洋プラスチック研究会を開催します。~ 未来社会デザイ…

  6. ミクロな揺らぎのさらに小さい構造に迫る

    ~プラズマ基礎実験の新展開~概要 プラズマ中でイオンと電子がつく…

  7. 宇宙最初の星は「ひとりっ子」で誕生する

    ~高精度磁気流体シミュレーションが切り開いたファーストスター形成の新展開~…

  8. 日本の都道府県単位における医療機器の運用効率性の…

    〜CT・MRIの非効率運用がもたらす経済・環境影響〜 経済学研究院加…