星のゆりかごを揺さぶる若い星からの産声を捉える

~ ⼀般的な星形成の形態である星団形成の理解を紐解く鍵に ~

ポイント

・密集して分布する原始星は⽐較的遠⽅にあるため、領域内を詳細に観測することが困難だった。
・今回、若い星から噴き出す巨⼤分⼦流が同じ星団形成領域内の若い星周辺の⾼密度ガスと激しく衝突している様⼦を⾼解像度で捉えることに世界で初めて成功。
・鮮明に観測されてこなかった星団形成の理解を紐解く重要な⼀歩に。

概要

 ⾚ちゃん星(原始星)は、宇宙空間のガスと塵が豊富にある領域である分⼦雲コアの中で⽣まれます。原始星の周りには分⼦ガスが噴き出している様⼦(分⼦流)が観測されます。この分⼦流は、原始星のサイズの100万倍以上の⼤きさにも広がることがあり、原始星よりも観測しやすいために原始星誕⽣を捉える指標となります。また多くの原始星は、集団で⽣まれることが知られています。しかしこの原始星の集団(星団形成領域)は、太陽から⽐較的遠くに位置しているため、密集して分布する原始星を区別して調査する為には⾮常に⾼い視⼒の望遠鏡で観測する必要がありました。
 本研究では、若い星から噴き出す巨⼤分⼦流が同じ星団形成領域内の若い星周辺の⾼密度ガスと激しく衝突している様⼦を捉えることに成功しました。衝突によって星団形成領域のガスや塵は激しく揺さぶられ、そこでの星の形成に影響を与えている可能性があります。
 九州⼤学理学府博⼠課程2 年の佐藤亜紗⼦⼤学院⽣、九州⼤学⼤学院理学研究院の町⽥正博准教授、国⽴天⽂台アルマプロジェクトの髙橋智⼦准教授、⽯井峻特任准教授らの研究グループは、アルマ望遠鏡を使って最も若い星団形成領域の⼀つであるOMC-2 内のFIR 3 およびFIR 4 領域を観測しました。この天体はオリオン座の⽅向にあり、地球から 1400 光年の位置にあります。同グループは、分⼦雲や分⼦雲コアを観測する塵、分⼦流を観測する⼀酸化炭素(CO)、ガス同⼠の激しい衝突を観測する⼀酸化ケイ素(SiO)の分布を調べました。先⾏研究よりも3倍⾼い視⼒の観測によって、2倍の数の分⼦流を発⾒し、複雑な星団形成環境の様⼦を捉えることに成功しました。さらに塵とCO とSiO の分布関係から若い星団形成領域OMC-2 内で、FIR 3 領域中の原始星から噴き出た巨⼤分⼦流が若い星が密集するFIR 4 領域に激しく衝突していることを⽰す決定的な証拠を得ました(下図参照)。
 今回の発⾒は、⼀般的な星形成過程であるにもかかわらず鮮明に観測されてこなかった星団形成の理解を紐解く重要な⼀歩と⾔えます。
 本研究の成果は⽶国雑誌「Astrophysical Journal」に2023年2⽉3⽇(⾦)に掲載されました。

詳細

詳細はプレスリリースをご参照ください。

溶液中のヨウ化サマリウム錯体の構造を解明

糸島市・九州大学連携研究事業「フレイル疫学研究成果報告会」の開催

関連記事

  1. 【5/14開催】データ駆動イノベーション推進本部…

    ~テーマ:「移動困難者の回遊・交流・社会参加を実現する公共空間マネジメント…

  2. 太陽圏の果てで宇宙線はどのように作られるのか

    総合理工学研究院松清 修一 教授スーパーコンピュータ「富岳」による世…

  3. THEインパクトランキング2025

    -九州大学が3つのSDG項目で世界トップ100位以内にランクイン―…

  4. [10/15開催]ERATO小島マーケットデザイ…

    コンピュータ科学と制度設計が拓く社会コンピュータ科学と、制度設計の科…

  5. 【11/5~11/9開催】Asia Week 2…

    ~テーマは「Sharing Cultures-Enhancing Peace…

  6. 小惑星べヌーの砂に生命を構成する「糖」が存在

    ―アミノ酸、核酸塩基に並ぶ主要な生命材料分子を検出―理学研究院奈良岡…

  7. エポキシ樹脂はなぜ劣化するのか?分子レベルで解明…

    水や酸が分解を加速する仕組みを理論計算で解明先導物質化学研究所塩田淑…

  8. 《12/24開催》第217回アジア・オセアニア研…

    河野 銀子 教授(男女共同参画推進室)九州大学アジア・オセアニア研究…