阿寒カルデラ地下に大規模マグマだまりの可能性

~将来の火山活動の予測・評価に重要な手がかり~

理学研究院
相澤 広記 准教授

ポイント

・北海道阿寒カルデラで電磁探査を行い、深さ約30 kmまでの3次元構造を解明。
・雌阿寒岳と雄阿寒岳の地下に階層的なマグマだまりと供給経路を示唆する構造を発見。
・火山活動の評価や噴火の予測に将来つながる重要な基礎情報を提示。

概要

北海道大学大学院理学院博士後期課程の井上智裕氏(研究当時)、同大学大学院理学研究院附属地震火山研究観測センターの橋本武志教授、田中 良助教、九州大学大学院理学研究院附属地震火山観測研究センターの相澤広記准教授、名古屋大学大学院環境学研究科附属地震火山研究センターの市原 寛講師、産業技術総合研究所再生可能エネルギ―研究センターの山谷祐介研究チーム長らの研究グループは、北海道東部に位置する阿寒カルデラ*1でMT法*2電磁探査を実施し地下の比抵抗構造を明らかにしました。

阿寒カルデラは阿寒湖を中心とし、活火山である雌阿寒岳と雄阿寒岳が分布する火山地域です。本研究により、両火山に挟まれた地下3~15 kmの深さに、体積約500 km3に及ぶ大規模なマグマだまりの存在を示唆する領域が確認されました。この領域ではマグマの結晶化が進んでいるものの、なお約10~20 %程度(約50~100 km3)の溶融マグマが残存している可能性があります。また、2016~2017年頃にカルデラ中央部で観測された地盤変動は、この領域の直上でのマグマ貫入によるものと推定され、本研究で得られた地下構造と整合的であることが分かりました。

本研究は、阿寒カルデラにおける地下のマグマ供給系*3の関係を理解するうえで重要な知見を提供するものです。将来の大規模噴火の可能性評価に資する基礎情報となるだけでなく、近年の水蒸気噴火や火山活動活発化のメカニズムの理解にも貢献できる可能性があります。

なお、本研究成果は、2026年3月16日(月)公開のEarth, Planets and Space 誌にオンライン掲載されました。

用語解説

*1 カルデラ
噴火活動によってできた大きな陥没地形のこと。

*2 MT(マグネトテルリック)法
地磁気嵐などによる自然の電磁場変動を信号源として、大地に誘導された電磁場を地表で計測することによって地下比抵抗構造を推定する探査技術。

*3 マグマ供給系
マグマだまりや火道といった、マグマの蓄積場所・上昇及び移動経路のこと。

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