土砂災害の死者数減少をもたらす有効な対策は時代と共に変化する
ポイント
・日本の降雨による土砂災害の死者数は,戦後,2000年頃まで一貫して減少してきました。自然的側面(降雨,森林)及び社会的側面(土木構造物の設置,危険性が高い場所の世帯数,1世帯あたりの人数,住宅構造,避難したかどうか)の両面から,この要因解明を試みました。
・2000年頃まで見られた死者数の減少は,住宅構造の変化(平屋の減少)に加え,前期は避難した人の増加が,中期は森林の成熟が,後期は土木構造物の設置が寄与した可能性が高いことを見出しました。このように土砂災害の死者数減少をもたらす要因は,社会の成熟度と呼応し,時代と共に変化することがわかりました。
・最近の15年間では土砂災害発生件数の増加が見られ,これは降雨の増加に起因している可能性が高いことを示しました。将来の土砂災害死者数増加の予兆である可能性があります。
概要
宮崎大学農学部の篠原慶規准教授と九州大学大学院農学研究院(宮崎演習林)の久米朋宣准教授の研究グループは,1945年~2019年の降雨による土砂災害の死者数及び死者数に関わる様々な自然的・社会的要因の変動を比較・分析することで,土砂災害による死者数減少を生み出す要因は,時代と共に変化することを示しました。
土砂災害では,多くの方が室内で亡くなることに着目し,死者数を,土砂災害発生件数及び土砂災害1件あたりの死者数(死者数/発生件数)に分けて解析することで,各時期において,死者数減少を生み出す要因を特定することに成功しました。
詳細
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