赤ちゃん星が磁力線を吐き出す「くしゃみ」で新発見

アルマ望遠鏡で暖かいリング状ガス雲を初観測!

理学研究院
町田 正博 教授

ポイント

・原始星※1(星の赤ちゃん)が誕生した直後はその周りのガスが複雑な挙動をするため明らかになっていない点が多い。
・アルマ望遠鏡※2は様々な波長の電波を観測することができるが、特にサブミリ波帯(高周波数)は観測の条件が厳しく、世界的にも観測が進んでいなかった。
・高周波受信機であるBand 9で観測すると、原始星のすぐそばに約1,000 天文単位に及ぶリング状でかつ周囲よりも暖かいガス雲を発見。星の赤ちゃんの「くしゃみ」による衝撃波で形作られたと考えられる。

概要

香川大学教育学部の徳田一起講師、九州大学大学院理学研究院の町田正博教授らの研究グループは、地球から最も近い(約450光年先)星の誕生現場で、おうし座方向にある分子雲コア※3MC27をアルマ望遠鏡の高周波受信機(Band 9)で観測を行いました。その結果、原始星およびその円盤のすぐそばに約1,000 天文単位の直径をもつリング状ガス雲が存在することを初めて明らかにしました。このリングはその形が非常に特徴的というだけでなく、温度が周囲に比べて10 K(ケルビン)以上高く、ほんのりと暖かいことも判明しました。星の赤ちゃんが磁力線の束(=磁束)を吐き出す「くしゃみ」をすることが近年の研究で判明しつつありましたが、このくしゃみによる衝撃波によってガスが暖められた現場を初めて捉えたものと考えられます。星の誕生直後は周囲のガスの温度や密度を大きく変化させながら進化することを捉えた貴重な観測成果となります。

用語解説

※1 原始星
分子雲コアが重力によって収縮し、原始星(星の赤ちゃん)が誕生します。周囲のガスが降り積もりながら成長している段階です。

※2 アルマ望遠鏡
南米チリのアタカマ高地、標高約5,000メートルの場所に設置された電波望遠鏡群で、66台のアンテナから構成されます。特に分子ガスの観測に優れ、世界最高水準の観測性能を持っています。本観測では、特に日本がその開発に重要な役割を果たしたアタカマコンパクトアレイを使用しており、より空間的に広がった天体構造を捉えることを得意とします。

※3 分子雲コア
宇宙空間(特に星と星の間の星間空間)には星の材料となる水素原子/分子を主成分としたガスが漂っています。その中で特に水素分子が豊富に存在する場所が分子雲です。さらに濃くなった場所は分子雲コアと呼ばれており、 これが星の卵に相当します。通常は10 ケルビン (-263℃) 程度と非常に冷たい温度を示します。

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