廃棄高機能プラスチックの再資源化技術を開発

-固体酸触媒で高付加価値化学品への変換に成功-

カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所
チャップマン アンドリュー 准教授

概要

理化学研究所(理研)環境資源科学研究センターグリーンナノ触媒研究チームの山田陽一チームディレクター、アブヒジト・セン研究員、九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER)のアンドリュー・チャップマン准教授らの共同研究グループは、高分子固体酸触媒PAFR IIとマイクロ波加熱を組み合わせて、世界的に需要が拡大しているにもかかわらず再資源化が難しい「ポリオキシメチレン(POM)」を分解して再資源化へつなげる技術を開発しました。

本研究成果は、持続可能な化学産業の構築や循環型社会の実現に貢献することが期待されます。

共同研究グループは、高分子固体酸触媒PAFR IIとマイクロ波[1]技術を組み合わせることで、エンジニアリングプラスチック[2]の一つであるPOMを分解し、溶媒や殺虫剤、ホスト分子ピラー[5]アレーン[3]といった高付加価値化学品へ変換するケミカルアップサイクリング[4]技術の開発に成功しました。

本研究は、科学雑誌『Green Chemistry』オンライン版(1月21日付:日本時間1月21日)に掲載されました。

補足説明

[1] マイクロ波
光子の振動がなす電磁波の一種。光子の波長が400~700ナノメートル(nm、1nmは10億分の1メートル)のものを可視光線、800nm付近のものを赤外線、そして数cmのものをマイクロ波と呼ぶ。電子レンジで発生するマイクロ波の波長は約12cm(周波数2.45GHz)である。

[2] エンジニアリングプラスチック
高い強度・耐熱性・耐薬品性などの性能を持ち、機械部品や電気製品などの構造材料として使えるプラスチックのこと。

[3] ホスト分子ピラー[5]アレーン
五つのベンゼン環が円柱(ピラー)のように環状につながった分子で、中空の空間(内孔)を持つホスト分子(内側に空洞があり、小さな分子を選択的に取り込むことができる分子)。応用例として、医薬品や機能性材料、分子認識や分離剤などが挙げられる。[5]は含まれるベンゼン環の個数を示す。

[4] ケミカルアップサイクリング
使い終わったプラスチックや廃棄物などを、化学反応によって“より価値の高い化学品”に変換する技術のこと。

詳細

本件の詳細についてはこちら

お問い合わせ先

カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所 チャップマン アンドリュー 准教授

染色体DNAの二方向複製のしくみ

[3/13開催]九州大学筑紫地区地域連携推進チーム×大野城心のふるさと館 プレゼンツ 「ここふるサイエンスカフェ Vol.17」

関連記事

  1. スマホゲームの遊びすぎ防止効果を8万人で検証

    ~数秒の待ち時間と視覚刺激の低減が、ゲーム依存対策に有効である可能性が示唆~…

  2. 「SDGsを考慮した土砂災害防止対策の早期警報シ…

    工学研究院教授 ハザリカ へマンタ九州大学アジア・オセアニア研究…

  3. 地震のマグニチュード-頻度特性の断層強度依存性と…

    理学研究院松本 聡 教授超多点観測から見えてきた、新たな地震活動の見…

  4. 第20回芸工祭(大橋キャンパス)を開催

    ~ 第20回芸工祭(大橋キャンパス)を開催します ~九州大学芸術工学…

  5. 《3/12開催》第180回アジア・オセアニア研究…

    末廣 香織 教授(人間環境学研究院 都市・建築学部門)九州大学アジア…

  6. 《1/29開催》2025 I2CNER Annu…

    『2025 I2CNER アニュアルシンポジウム “Building a S…

  7. 《10/6-11/28開催》九州大学100年の中…

    九州大学の中国学研究に関する「ヒト・モノ・コトガラ」を一堂に集めてご紹介しま…

  8. 「持続可能な発展:新国富指標の活用」(第19回 …

    工学研究院教授 馬奈木 俊介九州大学アジア・オセアニア研究教育機…