九州大学とCalyx Globalがカーボンクレジット市場の透明性と品質向上に向けて連携

国立大学法人九州大学(所在:福岡県福岡市、総長:石橋達朗)(以下「九州大学」)と世界的なカーボンクレジット評価機関であるCalyx Global(所在:米国コロラド州、代表:Donna Lee及びDuncan Van Bergen)は、このたびカーボンクレジット市場における透明性向上と持続可能性強化のための連携を開始しました。
近年、気候変動対策の一環としてカーボンクレジット市場が注目を集めていますが、その市場にはいくつかの課題があります。特に、信頼性と透明性の欠如、追加性の確保の難しさ、二重計上のリスク、そしてクレジットの品質のばらつきが問題として指摘されています。これらの課題に対応するためには、厳格な測定・評価・検証(MRV)の仕組みの確立と、環境・社会・ガバナンス(ESG)視点を含めた包括的な評価が不可欠です。
九州大学都市研究センターは、サステナブルファイナンスやESG研究において世界有数の研究実績を有しており、Calyx Globalの信頼性の高い格付けデータを活用して、カーボンクレジットの質を考慮した企業パフォーマンスへの影響、市場での評価、またESGパフォーマンスとの関係性を分析を通じて明らかにします。本研究連携は、九州大学都市研究センターのセンター長である馬奈木俊介教授と、同センターのキーリーアレクサンダー竜太准教授によってリードされており、Calyx Globalのカーボンクレジット格付けデータと企業価値との関係性を明らかにする共同研究の組成は世界初の取り組みです。これにより、現在までに見えてきたカーボンクレジット市場の課題の解決につながることが期待されます。
また、両者の連携により、プロジェクトが実際に温室効果ガス(GHG)の削減に寄与しているか、地域社会や自然資本にポジティブな影響を与えているかを総合的に評価する科学的かつ包括的な手法の開発・運用も推進されます。これにより、質の高いクレジットの普及と、より信頼性の高い市場形成が促進されることが期待されています。

Calyx Globalについて

Calyx Global(カリックス・グローバル)は、独立したカーボンクレジットの格付けプラットフォームとして、グローバル市場における信頼性と透明性の向上を目指す企業です。Calyx Globalは、1,000件近いプロジェクトに対して、GHG排出削減の真正性(Integrity)やSDGs(持続可能な開発目標)への貢献、社会的・環境的リスク評価を行っており、市場参加者が質の高いクレジットを選定できるよう支援しています。
同社の評価手法は、プログラム・方法論・プロジェクトの3層にわたるピアレビュー済みの評価フレームワークを採用しており、クレジットのGHG整合性やSDGs貢献度をスコアリングすることにより、全体像を可視化します。また、自然ベース(REDD、植林など)から技術ベース(工業、バイオガス、再エネなど)まで多様なプロジェクトを対象としており、ボランタリー・カーボン市場(VCM)の健全な成長と持続可能性の実現を牽引しています。

馬奈木俊介教授からひとこと

信頼性と持続可能性を備えたカーボンクレジットの可視化は、未来の気候政策と企業戦略の土台となります。Calyx Globalとの連携により、質の高いクレジットが正当に評価される市場の実現を目指します。

お問い合わせ

大学院工学研究院 環境社会部門 都市交通工学研究室

電話:092-802-3401
Mail:lab.managi★gmail.com
※メールアドレスの★を@に変更してください。

生命がもつ時計の「0.1ナノメートルの針」が動く瞬間

《6/25開催》 第192回アジア・オセアニア研究教育機構(Q-AOS)Brown Bag Seminar Series「アンモニアを燃料としてカーボンニュートラルの実現に貢献」

関連記事

  1. EarthCARE衛星で雲内部の鉛直運動を検証す…

    ―衛星観測データと高解像度全球雲解像モデルの相補的活用が示す展望―応用力…

  2. 冬季西日本における極端降水量の数年先までの潜在的…

    理学研究院望月 崇 准教授異常天候の中長期的な予測の実現に繋がると期…

  3. 【11/5~11/9開催】Asia Week 2…

    ~テーマは「Sharing Cultures-Enhancing Peace…

  4. 金ナノ粒子によるCO酸化反応に新機構を発見

    ~“混成電位駆動型触媒反応”が低温での高活性の鍵に~カーボンニュートラル…

  5. 【11/30開催】有明海の気候変動に関するシンポ…

    ~気候危機時代の有明海に適応するためにできることを議論することで、漁業関係者…

  6. 【作品募集8/1~】SDGs デザインインターナ…

    「未来の食文化」をデザインしよう!九州大学大学院芸術工学研究院が…

  7. 黄金比・黄金角による点群生成機構の解明・一般化

    植物の形態モデリングに関わる数学の未解決問題を解決マス・フォア・インダス…

  8. 雲を構成する水と氷の比率が北極温暖化に影響するメ…

    〜温暖化予測・異常気象予測の高精度化に期待〜総合理工学府修士課程1年 /…