輸入インフレーションの波及構造を解明!

輸入エネルギー資源の高騰に対しサプライチェーンに対する価格上昇緩和策が重要

経済学研究院
加河 茂美 教授

ポイント

・輸入インフレーション(※1)の波及構造を分析する新たな分析モデルを開発。
・日本の産業を対象とした実証分析を行い、輸入エネルギー資源価格上昇の影響を受けやすい産業ホットスポットを特定。
・サプライチェーンの上流・中流部門へのエネルギー政策が輸入インフレーション緩和に向けた重要なカギ。

概要

日本は、国内で必要なエネルギーの95%以上を輸入エネルギー資源に依存しており、2022年以降の輸入価格高騰(2倍以上)により、国内産業は大きな影響を受けています。九州大学大学院経済学府博士後期課程1年の月岡葵大学院生と同大学院経済学研究院の加河茂美主幹教授は、輸入インフレーションの波及構造を分析する新たな手法を開発しました。この手法を用いて日本の産業構造を対象とした実証分析を行い、輸入エネルギー資源(原油、石炭、天然ガス)の価格上昇の影響を受けやすい産業部門を特定しました。

本研究では、産業連関分析の価格モデルと単位構造モデルを応用し、輸入エネルギー資源の国内産業へのコスト波及構造(コストプッシュ構造)を分析する新しい分析モデルを開発しました。その実証分析により、化学基礎製品や舗装材料を含むサプライチェーンの上流・中流に位置する産業部門が、輸入エネルギー価格上昇の影響を特に受けやすいことが明らかになりました。

従来のエネルギー価格上昇に対する政策は、主にサプライチェーン下流の消費者へのコスト負担緩和に焦点を当てています。しかし、本研究が特定した上流・中流の産業部門に対しても、コスト負担軽減策やエネルギー効率向上策を講じることが重要です。上流・中流の産業部門における再生可能エネルギー導入の推進やエネルギー効率向上への取り組みは、産業間でのコストプッシュを緩和し、国内製品価格の上昇、すなわち輸入インフレーションの抑制につながると期待されます。本研究は、日本学術振興会科学研究費助成事業(JP20H00081)とJST 次世代研究者挑戦的研究プログラム(JPMJSP2136)の支援を受けました。

本研究成果は、2025年1月20日にEconomic Systems Research誌(2023 Impact Factor: 1.8)に公開されました。

本研究グループからひとこと

輸入エネルギー資源の価格上昇は、サプライチェーン全体を通じて幅広い国内産業にコスト負担をもたらし、最終的には私たちの生活に身近な物価上昇を引き起こします。特に、本研究で特定された価格上昇の影響を受けやすい上流・中流の産業部門において、グリーンテクノロジーの導入やエネルギー効率の向上に取り組むことが重要です。

用語解説

(※1)輸入インフレーション
海外の物価上昇により国内で発生するインフレーションを意味します。原油などの輸入品価格が国際的に上昇することにより、輸入品を使用するガソリンなどの国内製品の価格が上昇する現象を示します。

詳細

本研究の詳細はこちらをご参照ください。

お問い合わせ先

経済学研究院 加河茂美 主幹教授

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