絶滅生物の痕跡は現生生物のどんなゲノム領域に残りやすい?

~ アゴハゼのゲノム解析が暴く「ゲノムの中の幽霊」 ~

ポイント

・アゴハゼの種内系統の1つが、絶滅した“ゴースト系統”との古代の交雑により誕生したことを示しました。
・絶滅したゴースト系統由来のゲノムが受け継がれたゲノム領域や、逆にゴースト系統由来のゲノムが失われてしまったゲノム領域の特徴を初めて解明しました。
・本研究の成果は、絶滅系統が現在の生物多様性に果たす役割や、生物の交雑ゲノム構成を決める普遍的なルールの解明に繋がると期待されます。

概要

 東京大学大学院農学生命科学研究科附属水産実験所の加藤柊也大学院生、平瀬祥太朗助教、菊池潔教授らの研究グループは、アゴハゼというハゼ科魚類の種内系統の1つが絶滅した“ゴースト系統(注1)”との交雑により誕生した系統であることを示しました。さらに、この種内系統について詳細な集団ゲノミクス解析(注2)を行うことで、絶滅系統のゲノムが生き残ったゲノム領域や、逆に絶滅系統由来のゲノムが失われてしまったゲノム領域の特徴を解明しました。

用語解説

(注1)ゴースト系統(ghost lineage)
現時点でサンプリングできておらず、DNAのような遺伝情報に基づく証拠が存在しない系統のこと。手でつかむことができない正体不明な存在であることを「幽霊」に例えた呼称である。絶滅系統のうちDNAが取得できるのはごく一部であるため、ほとんどの絶滅系統はゴースト系統であるといえる。
(注2)集団ゲノミクス(population genomics)
生物の複数個体のゲノムを分析することで、集団の進化の歴史やメカニズムを解明しようとする学問のこと。

詳細

詳細はプレスリリースをご参照ください。

【12/8開催】Science Cafe : シリコンバレーや世界の有力スタートアップエコシステムから学ぶアジアの未来

【12/11開催】第26回生きものサロン「3分で家が完成?!オタマボヤのハウス建築」

関連記事

  1. オオクロバエは鳥インフルエンザウイルスを運ぶ

    農学研究院藤田 龍介 准教授今後の鳥インフルエンザ対策にはハエにも注…

  2. クリの世界的害虫クリタマバチの卵成熟様式に関する…

    クリの世界的害虫クリタマバチの卵成熟様式に関する議論に決着ポイント…

  3. ミュオグラフィの陸から海への展開

    ミュオグラフィの陸から海への展開ポイント・海底ミュオグラフィセン…

  4. 木のナノファイバーの構造制御により、ヒト歯髄幹細…

    〜樹木由来のセルロースナノファイバーで目指す歯の再生医療〜農学研究院…

  5. [7/12開催]Kyushu U Connect…

    今回のテーマは自然界のエンジニア「虫」今年もKyushu U Con…

  6. 総合研究博物館 丸山宗利准教授が2024年度動物…

    九州大学総合研究博物館丸山宗利准教授令和6年6月13日、九州大学…

  7. 《1/15開催》第172回アジア・オセアニア研究…

    佐竹 暁子 教授(理学研究院 生物科学部門)九州大学アジア・オセアニ…

  8. 小笠原諸島から新たに4新種を含む小蛾類を発見

    ―海洋島における腐食性蛾類の多様性と列島間の遺伝的分化を明らかに―生物資…