「第11回国際日本語ディベート講座」をオンラインで開催

~ 本学学生がディベートオンライン集中講座を通じて国際交流を楽しみました ~

研究には、それぞれの研究分野に特化した知識・洞察力・検証力だけでなく、論理構成力や批判的思考力、プレゼンテーションが必要とされています。現状の大学・大学院教育では、個別分野に特化した研究能力の育成がはかられる一方、汎用的な思考スキルの教育は少なくとも体系的には行われていません。とりわけ、社会との連携が緊密化し、近年研究の対象が複合化・多様化・国際化するなかで、分野外・専門外の人々にわかりやすく自己の意見を伝え、議論するための能力は不可欠であると言えます。本講座では、ディベート活動を通じた汎用的な議論能力の育成、それらを念頭に置いた研究・教育の進め方について専門家・経験者を招いて議論していきたいと思います。

2022年8月21日(日)〜8月28日(日)、「第11回国際日本語ディベート講座」をオンラインで開催しました。(主催:ディベート教育国際研究会、日本ディベート協会九州支部、共催:言語文化研究院、後援:地球社会統合科学府、共創学部、九州大学ディベートクラブ、ディベート・ブリッジ、広島修道大学ディベートクラブ)

 本講座は、日本語ディベートを通じて日本語学習者と日本語母語話者が国際交流を行うことを目的とした、今年で11年目を迎える集中講座です。本学言語文化研究院・井上奈良彦教授が東アジア各地の日本語教師らと協力しながら継続してきました。コロナ禍以前は九重山の家に集まり合宿形式で開催していましたが、COVID-19の影響により3年連続で今回もオンラインでの開催となりました。韓国、中国、台湾、ベトナムといった様々な出身地の日本語学習者と日本語母語話者の学生が交流する貴重な機会となりました。
 講師には是澤克哉先生(広島修道大学・日本ディベート協会理事)を迎え、「日本政府は、定年制を廃止すべきである。是か非か。」という学生自身にとっては先の将来の関心事である論題について、ディベートを一から学ぶことができる講義と3〜4人のグループでの活動を交えながら取り組みました。講座の最後に行われたディベート大会では、国際混成チーム同士が講座の学習成果を存分に発揮し、接戦が繰り広げられました。
 チームAを率いて、大会で2年連続優勝を果たした共創学部4年の榎本航征さんは「今回の講座では、授業や決勝戦を含む何回もの試合を通して、エビデンスを探し出し、相手チームと共に自分たちの議論の正しさを確かめ合う建設的な議論の方法を学ぶことができました。特に、いろいろな国や地域の方と話し合うことで、友情を深めつつ定年制度に関して新しい発見が出来たことが非常に楽しかったです。」と述べました。
 日本語母語話者最優秀賞を受賞した経済学部2年、浪﨑陽菜さんは「準備や試合を通してよい議論を展開できたのは、同じグループの方と協力できたからだと思います。質疑や反論など、それぞれが持っている証拠や考えを組み合わせて、よりよいスピーチに改善することができました。また、それぞれの出身地の就職活動や給食文化等の話題で盛り上がり、ディベートを通じて交流を楽しみました。」と述べました。
参加した30名超の学生は、MoodleやZoomなどのオンラインツールを用いて共に学び、交流することができました。対面での国際交流が依然として難しい状況で、本講座は今後のオンラインディベート教育や日本語教育に新たな可能性を提示することができました。

参加した学生の大学:九州大学、広島修道大学、神戸大学、恵州学院(中国)、国立陽明交通大学(台湾)、天主教輔仁大学(台湾)、建国大学校(韓国)、慶熙大学校(韓国)、釜山外国語大学校(韓国)

お問合せ先

言語文化研究院 井上奈良彦 教授
Mail:debate★flc.kyushu-u.ac.jp
※メールアドレスの★を@に変更してください。

九州大学ホームページもご参照ください。

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