3,000事業所のデータ解析から卸売業の業務改善に貢献する取り組みを明らかに

〜生産性向上に向けた業務管理とデータ利活用の科学的根拠として活用が期待〜

ポイント

・人手不足が深刻化する中、流通分野の業務効率化に向けた課題が明らかに。
・飲食料品や機械器具卸売業では業務管理とデータ利活用の取り組みが貢献。
・サプライチェーンが複雑な衣料品卸売業では取り組みの効果は他部門と比べて限定的。

概要

 少子高齢化に伴う人口減少が見込まれる日本経済は、今後も労働力人口の縮小による供給制約が経済成長へのマイナス要因になるとの認識が一段と強まっています。こうした状況の中で豊かな暮らしを達成するためには、業務効率化が必要不可欠です。卸売業を含めた流通業における経営力向上の規定要因に着目した既存研究では、卸売業において取り扱う商品特性の違いが必ずしも明示的には区分されておらず、卸売業の詳細な部門特性に焦点を当てた研究は行われてきませんでした。しかしながら、卸売業においては取り扱う商品が異なれば、事業の利益率や棚卸資産回転期間、在庫保管コストや賞味期限の有無など、業務内容に大きく影響する事業特性も異なることが考えられます。こうした中で、事業特性の違いを明示的に考慮した研究を行うことは、より説得力を持った科学的エビデンスを構築する上で必要不可欠な分析枠組みであると考えます。
 九州大学大学院経済学研究院の藤井秀道教授、篠﨑彰彦教授、鷲尾哲学術共同研究者((株)情報通信総合研究所主任研究員)らの研究グループは、内閣府経済社会総合研究所が全国12,277事業所を対象に実施した「組織マネジメントに関する調査(平成30年度)」のアンケート結果から、卸売業で回答が得られた2,954事業所の個票データを用いて、業務管理とデータ利活用の取り組みがプロセスイノベーション行動(業務効率化)にどのように影響しているかを実証分析し、卸売業の業務効率化に貢献する取り組みを部門別に明らかにしました。特に事業特性の違いを明示的に考慮するために、日本標準産業分類の中分類区分を参考に繊維・衣料品卸売業、飲食料品卸売業、建築材料卸売業、機械器具卸売業に分けて分析を実施しています。部門別の分析結果からは、業務効率化に影響を与える要因は部門毎に大きく異なっていることが明らかとなりました。
 今回の発見は、諸外国と比較して労働生産性が低い水準にあり、長年改善が求められてきた国内卸売業を対象として、業務効率化を通じた生産性改善を促進するための科学的なエビデンスを与えるものです。
 本研究成果はSpringer Natureが発行する経済学分野の国際ジャーナル「SN Business & Economics」に2023年8月31日に掲載されました。

詳細

詳細は九州大学プレスリリースをご参照ください。

カーボンナノリングのキーホルダー式固定化法の開発

モンゴル国立医科学大学と日本モンゴル病院を訪問し、医療指導とセミナーを開催しました “Visiting the Mongolian National University of Medical Sciences (MNUMS) and the Mongolian-Japan Hospital (MJH) ” 【日・Eng】

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