従来まで治療法のなかった進行型多発性硬化症の原因解明

医学研究院
山﨑 亮 准教授

ギャップ結合阻害による新規治療法開発に期待

ポイント

・多発性硬化症(MS)は若年女性に多い中枢神経系(※1)の自己免疫性脱髄性疾患です。患者の約2割程度は、発症後約20年で緩徐進行性の二次性進行型MS(SPMS)に移行します。今のところSPMSにおける病態進行を止めるのに十分に有効な治療法がありません。
・本研究では、SPMSの新規治療法開発を目指し、SPMSの動物モデルを用いて、新規に共同開発したギャップ結合蛋白「コネキシン(※2)」阻害薬の治療効果を検証したところ、高い治療効果を示しました。
・本薬剤は従来の免疫抑制治療とは全く異なり、中枢神経系常在細胞であるグリア細胞を標的とした初めての治療薬となりうる可能性が高く、その社会的な意義は極めて大きいと考えられます。

概要

 多発性硬化症(MS)は若年女性に多い中枢神経系(※1)の自己免疫性脱髄性疾患です。患者の約2割程度は、発症後約20年で緩徐進行性の二次性進行型MS(SPMS)に移行します。今のところSPMSにおける病態進行を止めるのに十分に有効な治療法がありません。
本研究では、SPMSの新規治療法開発を目指し、SPMSの動物モデルを用いて、新規に共同開発したギャップ結合蛋白「コネキシン(※2)」阻害薬の治療効果を検証したところ、高い治療効果を示しました。
本薬剤は従来の免疫抑制治療とは全く異なり、中枢神経系常在細胞であるグリア細胞を標的とした初めての治療薬となりうる可能性が高く、その社会的な意義は極めて大きいと考えられます。

用語解説

(※1) 中枢神経系
脳と脊髄からなる、神経細胞が集まっている領域のこと。

(※2) コネキシン
コネキシンは膜貫通タンパク質で、6つのコネキシンを結合させてギャップ結合を形成する。イオンとカルシウムの輸送を促進し、細胞間のコミュニケーションを維持する。

(※3) 疾患修飾薬
再発や疾患の進行を遅らせる作用をもった薬剤。

(※4) アストログリア
中枢神経系に最も多く存在する常在細胞で、恒常性を維持し、神経細胞の生存と機能を支える。

研究に関するお問合せ先

医学研究院 山﨑 亮 准教授

詳細

本研究の詳細はこちらをご参照ください。

高エネルギーイオンによる高温プラズマの自発的な流出入状態を発見

【7/15開催】「超域うみしらべ」キックオフ!「海流つながり」を調べる公開オンライン・ミーティング

関連記事

  1. オオクロバエは鳥インフルエンザウイルスを運ぶ

    農学研究院藤田 龍介 准教授今後の鳥インフルエンザ対策にはハエにも注…

  2. \従来より1桁以上高速!/ レアメタルフリーな高…

    理学研究院宮田 潔志 准教授有機分子の高速りん光メカニズムを解明…

  3. 土壌微生物バイオマスの新たな測定法を約40年ぶり…

    農学研究院平舘 俊太郎 教授ポイント・風乾土水抽出法による微生物…

  4. 思い出を「選んで残す」メカニズムを解明

    -記憶の「安定化スイッチ」として働く意外な細胞-生体防御医学研究所増…

  5. 老化した細胞が鉄で死なない仕組みを解明

    〜リソソームの酸性度が細胞死の鍵を握る〜工学研究院佐久間 臣耶 准教…

  6. 医学系学府 白石 千瑳さんが2024年度「ロレア…

    九州大学大学院医学系学府にて博士号(医学)を取得した白石 千瑳さんが2024…

  7. ドラッグリポジショニングによる 希少疾患に対する…

    九州大学病院 ARO 次世代医療センター特任講師 有馬 充九州大…

  8. 新しく生まれた神経の回路への組み込みがトラウマ記…

    薬学研究院藤川 理沙子 助教心的外傷後ストレス障害 (PTSD) の…