都市部の街路樹から外来種のヒメヨコバイを発見

ポイント

・ヒメヨコバイは植物の葉緑体を吸汁することで葉を黄化・萎縮させ、緑化樹や農作物の害虫となる種が含まれるグループである。近年国内外で外来種が増加している。
日本新記録種(※1)のヒメヨコバイを4種発見し、このうち福岡市の街路樹と東京都の公園木で見つかった種はそれぞれ外来種であることが示唆された。

概要

 ヒメヨコバイはカメムシ目頸吻亜目(※2)ヨコバイ科に属する2-5mmほどの昆虫です。ストロー状の口器で植物の葉緑体を吸汁し、葉を黄化・萎縮させます。街路樹や農作物の害虫として知られる種も多く存在し、近年では国内外で外来種も増えています。

九州大学大学院生物資源環境科学府博士課程の上原 友太郎、同農学研究院の大原 直通博士(テクニカルスタッフ)および北海道教育大学旭川校の奥寺 繁准教授らの研究グループは、これまでの国内各地における継続的な野外調査を通して、4種の日本新記録種を発見し、このうち、エンジュヒメヨコバイ Nikkotettix cuspidataとケヤキヒメヨコバイ Tautoneura polymitusaの2種が外来種であることが示唆されました。

中国および韓国で知られていたエンジュヒメヨコバイは福岡市早良区・中央区において街路樹のエンジュで発生しているのが2023年に初めて確認されました。エンジュは中国原産の移入植物であり、中国からのエンジュ生木の輸入が2017年以降急増したことなどから外来種と判断されました。

さらに、韓国原産で近年ヨーロッパ各地に侵入しているケヤキヒメヨコバイは東京都練馬区・杉並区において公園木のケヤキで発生しているのが発見されました。海外ではケヤキを含む様々なニレ科植物から確認されているも関わらず、都市部公園のケヤキでのみ採集されたことなどから外来種であることが示唆されました。

本研究成果はニュージーランドの雑誌「Zootaxa」に2026年5月20日(水)(現地時間)に掲載されました。

用語解説

(※1) 日本新記録種
すでに国外で名前がつけられていた種が日本で新たに見つかったときに使われる用語。新種とは異なる。

(※2) 頸吻亜目
セミ、ヨコバイ、ウンカ、ハゴロモ、アワフキなどが含まれるグループ。

用語解説

頸吻亜目昆虫にはチュウゴクアミガサハゴロモやシタベニハゴロモなど近年世界中で外来種と考えられる種が多く報告されており、一部の種は農作物や緑化樹に甚大な被害をもたらす害虫として問題視されています。今回発表した種を含め、国内でも侵入例は数多くあり、まだ気づいていないだけで同様な例もあると思われるので、今後も継続的な調査を行い、動向を注視していきたいと考えています。(上原友太郎)

詳細

本件の詳細についてはこちら

お問い合わせ先

九州大学大学院農学研究院 教授 紙谷聡志(カミタニ サトシ)
電話:092-802-4744
Mail:kamitani★agr.kyushu-u.ac.jp
※メールアドレスの★を@に変更してください。

AI×量子化学で色純度の高い青色発光材料を発見

DNAでナノ粒子間の“隙間”を制御 微量分子を見逃しにくくする高感度分析結晶材料を開発!

関連記事

  1. 「はやぶさ2」初期分析チーム 2021年6月より…

    「はやぶさ2」初期分析チーム 2021年6月より試料の分析開始ポイン…

  2. 農学部附属演習林が「30by30 自然共生の森づ…

    農学部附属演習林では、公益財団法人森林文化協会と2030年までに陸地…

  3. 【12/11開催】第169回アジア・オセアニア研…

    保坂 善真 教授(農学研究院 資源生物科学部門)九州大学アジア・オセ…

  4. 【10/13開催】令和6年度 比較社会文化研究院…

    ~食を考えることは、自然とのあるべき関係を取り戻し、文化的な多様性に寛容な社…

  5. 【5/15開催】第140回アジア・オセアニア研究…

    東江 栄 教授(農学研究院 資源生物科学部門)九州大学アジア・オセア…

  6. 三毛猫の毛色を決める遺伝子をついに発見

    〜60年間の謎だった三毛猫の毛色の仕組みを解明〜 高等研究院佐々木 …

  7. 日本一巨大なフキ「ラワンブキ」はなぜ大きいのか?…

    ―巨大化の原因解明に挑む― ラワンブキは、北海道足寄町の螺湾(らわん…

  8. 【10/19開催】アグリコラボいとしまワークショ…

    糸島農業産学官連携推進協議会(通称「アグリコラボいとしま」)主催のワークショ…