鉄と水素の結合を結晶内で安定化

レドックス非対称性で鉄系酸水素化物を実現

工学研究院
藤井進 准教授

概要

 酸水素化物は、酸化物中に負の水素イオン(ヒドリド)を導入した材料で、触媒などへの応用が期待されています。特に、組み合わせる遷移金属種が機能を決める重要な要素であり、安価で低毒性な鉄は有望視されています。一方で、鉄系酸化物を強く還元すると、ヒドリドが入らずに酸素が抜けた酸素欠損相へ変化するため、鉄系酸水素化物は未開拓でした。 
 京都大学大学院工学研究科 笹原悠輝 特定研究員(学振PD)(研究当時、現:北海道大学大学院工学研究院 助教)、同研究科 陰山洋 教授、九州大学大学院工学研究院材料工学部門 藤井進 准教授、名古屋工業大学物理工学類 壬生攻 教授、東京科学大学理学院化学系 八島正知 教授らの研究グループは、鉄-水素結合を含む初のペロブスカイト型酸水素化物BaFe0.5Ta0.5O2.7H0.3の合成に成功しました。還元されやすい鉄と還元されにくいタンタルを組み合わせることで、タンタルが5価のまま構造を支え、O2−/H−置換が進むことを見いだしました。この「レドックス非対称性」は、固体中の酸化還元反応を制御する新しい材料設計指針になると期待されます。
 本成果は、2026年6月1日20時(EDT)に国際学術誌「Journal of the American Chemical Society」のオンライン版に公開されました。

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